色いくまさんパーカー
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彼はパーカーの帽子を被って街を歩いている。くまさんの耳がついてるやつ。黄色くて可愛い。私はそれを斜め後方から見守る。彼の今日の罰ゲーム。くまさんパーカーの刑。

彼はしょっちゅう待ち合わせに遅刻する。その度私は彼に罰ゲームを科す。前回は11月11日だったのでポッキーゲームの刑だった。しかし逆に私が恥ずかしかった。

黄色いくまさんはこちらを振り向くと突然手を握ってきた。仕方ないので私は彼に着いていった。彼はゲーセンに入った。ゲームの騒がしい音が耳に飛び込んでくる。うるさい場所が苦手だから、私はゲーセンはあまり好まない。むしろ公園で鳩を眺めているほうが良い。彼はおもむろに100円玉を取り出しUFOキャッチャーをやり始めた。

黄色いくまさんがゲーセンでUFOキャッチャーをやっている光景に周りが若干失笑し、私は恥ずかしくて距離を置こうとした。しかし彼が手を離してはくれなかった。未だに手を繋いだままだ。

黄色い小さなぬいぐるみ。俗に言うクマのプーさんだが、やつは小さいくせにしぶとい。おそらく彼のコントロールによるものだが、なかなか引っかかってはくれない。UFOキャッチャーは「まっすぐ」と「右」という二つのボタンしかないから、彼に要求されるのはクマのプーさんまでの前方距離の調整と、横に何センチ動かすかという大まかな指令だけだ。大事なのはボタンを放すタイミングである。

彼は私にボタンを譲る。若干あきらめの目をしている。どうしてそんな目をするの。そんな簡単にあきらめないでよ。私は逆に闘争心が湧いてきた。クマのプーさんに対する闘争心。

私は彼の手を離す。ボタンの上にそっと手を置く。まずはプーさんまでの前方距離確認。ボタンを押す。そして離す。距離はまずまず。そして横幅の確認。私はプーさんの首元に目をつける。やつの首ねっこを掴んでやる。ボタンを押す。クレーンを横に動かす。クレーンはプーさんの首元へ。そして。

浮かび上がる黄色いクマのプーさんに私は歓喜する。隣の黄色いくまさんと私はハイタッチする。理論は色々語ったけれど、これは完全にビギナーズラックだ。何しろUFOキャッチャーなんてやったことはないのだから。

私は黄色いくまさんに黄色いプーさんを抱かせて街を歩く。彼のパーカーは黄色くて良く目立つ。今度の罰ゲームは何にしようかな。私は彼の手をギュッと握った。



(あとがき)

お題:パーカー

ぱるこさん @parukoooo




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