「あーもう無理、俺保健室行っていいかな」
『いやいや、部長がいなくてどうする』
「精市、茶だ」
「ありがと」
開店1時間で早くも休憩に入った幸村と、現在調理担当の柳と私。開店1時間前からブースの前に行列ができていたから嫌な予感はしてたんだ。
「柳せんぱあああい!」
「……どうした赤也」
『……なんで衣装乱れてんの』
「ちょっと外出たら待ちのお客さんに揉みくちゃに……もう俺無理っす、女子怖い女子怖い女子怖い」
赤也、あんたなんで外出たの。サボろうとでもしたんでしょ。バチが当たったんだよ。待て、今幸村と赤也がここにいるってことは、ウェイターがジャッカルだけなんじゃ……。
「たすけてくれ……」
『ジャッカルウウウ!!』
開店1時間、戦士3人がやられた。大変だ。
「みょうじ、」
『やだよ柳』
「もうお前しかいない」
『やだってば』
「劇でくちび『わかった!』
泣く泣くウィッグを被り、服装を正す。柳にお客にもそこはかとなくマナーを守るよう伝えろと耳打ちされるがもう心ここに在らずだ。いざ、戦場へ。
「なまえ先輩すげえ」
「あれでもみょうじは女だから同性の扱いには慣れてるんだろ」
さっきまできゃあきゃあ煩かったお客もなまえ先輩が各テーブルにオーダーを取ってからなぜか静かになった。みんなうっとりとなまえ先輩を見ている。ジャッカル先輩も復活して同じように動き回っているというのに、視線はみんななまえ先輩がかっさらっている。なまえ先輩、女子にモテモテじゃないっすか。
俺も気を取り直して3番テーブルにパフェを運ぶ。置いた途端にぐいぐいと腕を引っ張られて、不機嫌そうに顔をあげればなんとそこには青学の桃城と越前。
「なぁ、あいつテニス部か?」
「テニス部の出店だからそうなんじゃないっすか?」
「あの人は一応テニス部、つかなんでお前らがいんだよ」
「不二先輩に誘われてよ」
「不二先輩が誘うなんて珍しいっすよね」
不二さん?来てるのか?と振り返ってぎょっとした。え、何がどうなってんだ?