『ほー!意外と似合うね!』
「……意外すぎっすよ」
只今衣装合わせの真っ最中。真田が試着しています。全然似合わないだろ裏行けよ、と思っていたのですが……なんとこれが意外と似合ってるんですよ。案外柳の方が似合わないっていうね!一人一人の服装にアレンジをいれていく。よし、柳は終わり。
『赤也ーちょっとおいで』
「なんすか?」
『こうして、こうしてーこう』
「おお!なまえ先輩すげー!」
「そういえばみょうじも女やったのぅ」
『仁王の当番増やそーか』
「すまん」
『ブン太は可愛い系でしょ』
「俺はかっこいい系だろぃ」
「『え……』」
「柳まで!?」
いや、あんたは可愛い系だよ。このリボンで前髪結んだらそこらの女は負けるって。柳に言われて大人しく私に髪をいじられているブン太。うん、やっぱり可愛い。
「なまえ先輩俺も!」
『はいはい、もじゃっ子はワックス持っておいで』
「もじゃ…!」
『あんたの髪は……ウェービーだからね』
「つまりワカメじゃろ?」
『うるさい仁王、そして邪魔』
「俺がみょうじを変えちゃる」
赤也の髪をいじっている私の髪をいじる仁王。ぐいぐい頭が引っ張られて痛い。私はワカメ頭と格闘中。どうしようかな。ヘアピンでがすがす止めて、ちゃんとパーマあてましたって感じにしようかな。
『痛いよー』
「我慢するなり」
「俺さっきからめっちゃ刺されてるんすけど…」
「『我慢!』」
「みょうじ、仁王は?」
『さっき着替えに行ったよ』
「……気をつけろよ」
『は?なにが?』
「毎年のことだが、変な気を起こさないようにな」
『あれは柳が浴衣似合いすぎたからいけないんだよ』
去年も試着の段階で似合いすぎて色気むんむんの柳に抱いてくれと叫んだ前科がある。一昨年は白衣の柳生だったなあ。
「窮屈じゃのう」
『!』
「……仁王、とりあえずボタンをしめろ」
「柳、手を離しんしゃい」
「みょうじ、目を覚ませ」
『はっ!』
柳が首根っこを掴んでくれて助かった。仁王は絶対確信犯だ。目が怪しいもん。そして髪下ろすのは反則だよ!
「残念じゃ」
『ありがとう柳、さすがに仁王は身の危険を感じるよ』
「酷い言われようじゃの」
「『自業自得だ』」