あんのたぬきじじい。何でも知ってやがる…!立海大附属中宛ての書類を握りしめた。バイク駄目とかありえねぇ。長い道のりを歩いて歩いて、ああそうだよ、バス代が勿体なかったんだ!見えてきた校門。そしてワカメ。
「なまえさーん、お久しぶりっす」
『ざけんなワカメ!自分で取りに来いや』
「うげ!ぎぶぎぶ!」
私とこのワカメは所謂親戚というヤツで、立海レギュラー陣ともそこそこ親しい。それをたぬきじじいは知っていたようだ。まったくプライバシーもあったもんじゃない。
「やあ久しぶりだね」
『よっす』
幸村も元気そうで何よりだ。あ、いけ好かない赤髪が見えた。
「相変わらず女みてーだな」
『残念ながら女なんだよ!ブタ、コートに立ちやがれ』
「ブタじゃねぇ!」
『前より太っただろ』
「うるせぇぇえ!」
まあまあとジャッカルに鎮められる。チッ、しゃあねぇな。そういや今日おっさんらいなくね?
「ああ、真田と柳、柳生は委員会の関係でね」
『ほーん』
「ねぇみょうじ」
『ん?』
「俺と試合『勘弁してください』
五感奪われるとか勘弁。おいブタ、笑ってんじゃねえ。腹立ったから持ってた書類ぶん投げてやった。あ、
幸村の冷笑が痛い。
なんだかんだ成り行きで詐欺師とダブルス組んでブタたちと試合することになった。赤也とラケットは一緒だし、服装以外なんら問題はない。……他校に行くからと言ってスカート穿かせたたぬきじじいを恨んでやる。
「お前さん前衛後衛どっちじゃ?」
『だるいから前』
「そう言うと思っとった」
『なぁ仁王』
「ん?」
とっておきの奇策がある。赤也にすら見せたことがない、とっておき。本来の私のプレースタイル。
「ほお」
『つーことでよろしく』
「楽しくなりそうじゃのう」