▼現パロ学生/伊助視点


放課後の教室にお馴染みのメンバーがたむろする。授業の話だったり仲間内の話がほとんどで、今日も教室から見えるグラウンドで金吾が七松先輩に引き摺られているのを笑って応援していた。

校舎際の溝にトイペを抱えた乱太郎がずぼっとハマるのを見た兵太夫がお腹を抱えて笑う。


『兵太夫邪魔!らんたろー!だいじょーぶー?』

「邪魔ってひど!」

『あぶなッ、アッハハハハハ!!』

「えっ、なになに?見てなかった!」


笑い茸でも食べたのかというような二人が窓際を占拠して、事細かに外で何が起きているのかを伝える。

僕と庄左ヱ門はこの二人、兵太夫となまえがお互いに好き合っていることを知っていて、その縮まらないもどかしい距離に何度この放課後の時間に二人きりにしてやろうかと思った。

だけどその何かしらを察知する兵太夫にいつも止められていた。どうやら二人きりはだめらしい。なにも話せなくなるタイプとみた。







だから今日もこの二人がイチャついているのを庄左ヱ門と見ている。

本当に僕らはなんでここにいるんだろうか。

庄左ヱ門の目も遠くを見ている。


『はー笑った笑った』

「腹筋いてー」

『笑ったらお腹すいてきたわー』

「デブの素いるー?」

『いるいるー!』


きゃっきゃとお菓子を食べる二人に女子か!と脳内で突っ込む。あ、なまえは女子だった。


『最後の一本もーらい!』

「ずる!デブになれー!」

『ふんっ!バリアアア!』

「ぐあああ!」


庄左ヱ門が小学生か、とボソッと言う。







くだらない時間も日が落ちることでお開きになる。

二人のいうデブの素のスナック菓子を食べながら、帰路の分かれ道。

じゃあねー、となんの違和感なく二人と別れて、僕たちもやっと一息つける。


「ねぇ伊助、」

「うん?」


今更だけど、と続ける。


「兵太夫、家こっちだよね」

「うん」

「……明日は早く帰ろう」

「そうしよっか」


振り返って見えた繋がれた手にくすくすと笑いが零れた。


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