▼現パロ/大学生


『わああ、良い眺め!見て乱太郎……あれ?乱太郎?』

「こっち、こっちだよー」

『ええっ!?どうしてそんな高い木の枝に挟まってるの!?なにがどうなってそうなったの!?そういうことやるときは言ってっていつも言ってるのにィ!』

「あ、あははは、あの、なまえちゃん、写真撮るのは良いんだけど、降りるの手伝って貰えるかなぁ」

『ああ!ごめん!』


私の彼女はちょっと変わっている。

そう仲間に言うとお前たちには言われなくないだろって言われるけれど、彼女のちょっと変わった部分は私の前でだけ見られるもので、現にこうして枝から降りた先にあった落とし穴に落ちた私をカメラに収めている。

私の不運は彼女の好奇心をとても揺さぶるらしい。


『乱太郎、手、』

「ありがとう」


私が先輩に彼女を紹介出来ないでいるのは、そのせいもあるかもしれない。







静かな湖畔にシートを広げて、じゃーんと手作りサンドイッチ。

彼女といると、些細なことでも何倍も面白いことのように思える。


『乱太郎、頭に葉っぱ乗ってる』

「取って取って」

『んー、届いた!うわあ!』

「わあ!」


つるりと手を滑らせたなまえちゃんを慌てて支えるとぼちゃん、とサンドイッチの入ったバスケットが湖に沈んでいった。


『…………』

「……なまえちゃん?」

『あはは!半分こしよっか!』


ごろんのシートの上に転がって笑いながら言うなまえちゃんに手を引っ張られて、ごつんと顔からシートにぶつけた。

鼻を摩りながら隣に寝転べば、木漏れ日が心地良く射し込む。







半分こしたサンドイッチを口に放り込んで、ちらりとなまえちゃんを見れば、なまえちゃんの視線の先は下にあって、ああ、そうか。

触れるか触れないか、おずおずとなまえちゃんの手を握れば、ぎゅっと握り返される手。


『ふふ』

「どうしたの?」

『なんでもないよ?』

「そう?」

『また来年も来ようね』

「うん」


その時は先輩にも紹介できて、胸を張って隣を歩けているといいな。


「なまえちゃ、ぶふ』

『ええ!?どうして乱太郎にだけ木の葉が一斉に!?』


この不運ももう少し落ち着いていることを願おう。


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