海原祭も無事終わり、もうすぐ冬休み。クリスマスなんかのイベントがあっても、王者立海にはそんなものはない。

そんな雪の降りしきるある日、事は起こった。

練習の最中、女テニがいる室内テニスコートから悲鳴があがった。それも複数の。こっちのコートも騒然とする。

一体何事じゃ。


『痛っ!』


微かにそう、みょうじの声が聞こえた。気付けば俺は走り出していた。もちろん幸村たちも後に続いている。







『だから!違うって言ってんじゃん!』

「なにが違うってんだ、あーん?」


どういうことじゃ。女テニの連中は目がハートになっとる。悲鳴じゃなくて歓声だったのか。それより、


「確か、氷帝の跡部か」

「あん?なんだてめぇら」

『阿呆景吾!』

「てめ、殴るぞ!」

「まあまあ、落ち着けって2人共、で、何があったんだよぃ」


丸井が仲裁に入ったことでギリギリと睨み合っていた2人を離す。







「お前か、なまえとミクスド出てたやつは」

「そうだけど、俺は幸村精市、君は?」

「ハッ、氷帝テニス部部長、跡部景吾だ」


1年で部長?なんつーぶっ飛んだ学校じゃ。


「で、跡部は何しに来たの?」

「てめーの面拝みに来た」

「え、俺の?」

『だから違うって言ってんのに!』

「いやまずみょうじとこいつのカンケー教えろぃ」


そう、それじゃ。


「『いとこ』」

「「「いとこ?」」」


確かに似とる。







「結局跡部はみょうじと幸村くんが付き合ってると勘違いしてやって来たと、」

「チッ、なんだちげーのか」

『最初からそう言ってるのに』

「悪かったな」


でももし今後付き合うようなら俺様に報告しやがれ、まあこいつなら許してやる。

そうみょうじの父親か何かと勘違いするような発言を残して、嵐は去った。


『びっくりした』

「なにが?」

『景吾が認めた人、幸村が初めてだよ』


どういうことじゃ。俺は絶対許さんぞ。


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