みょうじに柳生は俺の宣言をしてから、みょうじはさして柳生に興味もなくなったようで、今は丸井とグラビア雑誌に見入っている。お前さんら……。まったく呆れるぜよ。
『いーや、絶対こっち!』
「はぁ?こっちだろぃ」
「2人共、静かにしんしゃい」
席替えしてみょうじが窓際一番後ろ、その隣が俺、みょうじの前が丸井になってからというもの、授業中だろうがお構いなしにうるさい。今はまだ自習時間中だから良いものの、みょうじと丸井の距離が近くて良い気はしない。もしかしたら俺のライバルは丸井なのか?
「馬鹿ちげーし!」
『はあ?』
いや、きっとやつはみょうじを男友達くらいにしか思ってない。自習時間が終わってもまだ言い合っている2人に溜め息しかでない。
「みょうじさん、ちょっと良い?」
『あ、はーい』
みょうじは最近よく女子に呼び出されている。帰ってくると必ず溜め息と苦笑い。もしかして、丸井も同じことを考えているようで、さっきからみょうじを呼び出した女子を睨んでいる。もし本当だったとしたら、それは逆効果でしかないことを分かっているんだろうか。
今日はどうやらみょうじが行けないと断ったようだが、なぜか女子の顔が赤い。……ん?あれは調理実習のマフィン?
「のぅ丸井」
「……なんだよい」
「あの女子の後ろにマフィン持った女子が並んどんのは俺の目の錯覚か?」
「……腹減った」
先月まではあの光景を隣のクラスで幸村が受けていた気がする。どうやら俺たちのもしかしては、真逆のことだったようだ。
両手いっぱいにマフィンやら手紙やら差し入れを持ったみょうじが席にもどってきた。丸井、涎を拭け。
『今日3年生の調理実習なのすっかり忘れてた……職員室に紙袋もらいに行こう』
「お前…」
『ほら、私顔だけは無駄に良いじゃん?』
「自分で言うなよぃ」
3人でみょうじが貰った菓子を平らげる。たしかにみょうじは顔は良い。女受けする顔立ちだと思う。
『従姉弟が超ナルシストで、その真似しながら部活してたらこんな状態』
「最近女テニが騒がしいんはそのせいか」
「呼び出しは?何で呼ばれてんの?」
『あーそのー、告白的な?』
「「まじか」」
それからしばらくして、立海の貴公子が誕生した。