『2年前はどうだったっけ』
「S3の真田副部長とD2の俺と柳先輩は勝ったんスよ」
『あー思い出した、後半でずるずる負けたんだっけ』
「ずるずるって言うなよぃ!」
『真田が幸村以外に負けるとこ見るの2度目だなぁ』
2年前は関東大会決勝で越前くんに、そして今日は手塚くんに5-7で負けた。今は昔ほど敗北に厳しくはなくなったけれど、
「すまん幸村!俺を打ってくれ!」
「ふふふ、1試合目で負けるなんて良い度胸だね」
どご、という鈍い音がして真田はそのまま倒れ込んだ。
今度は幸村が厳しくなった。そのためか、今まで以上にみんな勝ちに貪欲だ。
『あーあ、紫になってるよ』
「これくらい構わん」
『でもちゃんと冷やして』
「すまんな」
『一応マネージャーだからね』
あんな変色したまま放っておいたら青学に変な目で見られるでしょ。マネージャーが働いてないみたいじゃんね。
「真田くん、いっそみょうじさんに兼部してもらってはいかがでしょう」
『は?』
「幸村に言ったことはある」
え!?初耳ですよ!でも今私が初耳ってことは、幸村が断ってたのか。グッジョブ幸村!
「で、何が目当てなの?」
「幸村だけ至れり尽くせりじゃの、ずるいぜよ、幸村代われ」
『仁王邪魔、幸村、本当にありがとう』
「だから何が」
幸村の肩を揉みほぐしながらD2の試合を見守る。試合展開はもう見えてしまった。また幸村の制裁か。あと1ゲーム……先にアイシングの用意をしておこうかな。
「君は実に興味深いよ」
『えーと、乾くん?』
「仁王がお熱な訳もわかる気がするよ」
『思い出させないで……』
さっきの赤っ恥を思い出してしまうから。
「良いことを教えてあげよう」
『良いこと?』
「4セット目終えた後、不二がリードしていたら仁王とデートの確率は」
『え!?』
「「72.8%だ」」
『柳まで!』
「みょうじ、すまないが保冷剤はあるか?」
『2人分ね、はい、お疲れ様』
「それから、」
『まだあるの?』
「君が立海のマネージャーになる確率は、」
乾くんがぺらりとノートをめくる。ああ、どうしよう。
嫌な予感しかしない。
「98.7%だ」