久しぶりに足を踏み入れた青学のコート。青学も3年がレギュラーにいないために、部長代理として手塚くんが仏頂面で指示を出している。まだ中学生のはずの越前くんも今日は参加するみたいだ。
『幸村、オーダーは?』
「中学全国大会決勝再び、ってところかな」
『ふーん、大丈夫なの?』
「誰に言ってんの?ん?」
『すんませんでした』
「なまえー」
『……なに仁王』
「今日、俺不二とじゃろ?」
『まだ向こうのオーダー貰ってないからわかんないよ』
「……不二!」
『ちょ、なにしてんの!?』
青学がミーティング中なのに何話し掛けてんだばかやろう!真田が般若顔だよ!
「今日は負けんぜよ」
「ふふ、今日も勝たせてもらうよ」
「そう言えるんも今の内じゃ、のうなまえ」
『なに』
「今日俺が不二に勝ったらデートな」
『は!?』
「返事は待つけどアプローチせんとは言っとらんしの」
こんな大勢の前でなに言ってんだよおおお!青学の皆さんぽっかーん(゚Д゚ )じゃんかよ。いやいや、それ以上に丸井と切原がぽっかーん(゚Д゚ )だけど!丸井と青学の菊丸くんの絶叫でみんな我に返ったみたいだが視線が痛い。痛すぎる。特に青学の好奇な視線。私は泣く泣く頷くしかなかった。
「はあ?仁王の片想いの相手ってお前だったのかよぃ!」
『うるさい、もう事を大きくしないでくれ』
「仁王先輩ずっりい!」
「そう言わないであげてください切原くん、仁王くんは5年の片想いなんですから」
「あの仁王が5年か……実に興味深いデータだな」
『お前ら練習しろよ!幸村もなんとか言って!』
「え?おもしろいからいいよ」
ほんとふざけんなー。切原と丸井にがくがく肩揺さぶられて魂昇天中だよー。真田は赤面してたったったるんどる!とか言ってるけどその顔じゃ残念だ。一番まともなジャッカルはこの群れに関わりたくないのか、一番遠いコートで練習している。裏切り者め!
しばらく話が盛り上がったところでようやく幸村が指示を出して練習が始まる。試合まであと30分もないや。
「みんな反応おもしろかったね、真田は気持ち悪かったけど」
『いや、おもしろくないから』
「今日の試合、楽しみだなあ」
『人の話聞けよ』