【俺と彼】真田くん視点


朝ごはん食べながら、ぼんやりニュース見てた。
そしたら、アナウンサーのお姉さんがにこやかに言うのを聞いてしまった。

「今日は猫の日ですねー。」


2月22日だから、猫の日。

大宮に言ってみようかな?
「にゃん」って言ってみようかな?
だけど、男子高校生が「にゃん」とか言ったら引く?
引くかな…。どうかな…。


登校中も、午前中の授業の間も、俺の頭の中は「にゃん」でいっぱい。
にゃんにゃん。
にゃんって言って甘えてみたい。
けど、キモって思われたらもう生きてはいけぬ。

ううう。

悩んでる間に、昼休みになってしまった。

いつものようにお弁当を交換して、もぐもぐ食べる。
おいしい。でも、俺の頭は「にゃん」でいっぱい。

「真田、期末の勉強進んでる?」

「進んでるといえば進んでるけど…。
また数学教えてほしいにゃん。」

………。にゃん。

にゃんで頭がいっぱいになりすぎて、俺の語尾に、にゃんが付いた。

どわああああ!
キモって思われたらどおしよう!!
内心冷や汗だらだら。

だけど、俺の心配をよそに、大宮はにぱーって笑った。
箸を置いて俺の頭をうりうりなでまわす大宮。

「かわいい。もう一回言って?」

「…恥ずかしいにゃん。」

恥ずかしいとか言いながら、大宮の要求に応える俺。

…うん、しあわせ!





【貞淑な?奥さん?】千種くん視点


今日も委員会の仕事があったので、幸前を先に帰らせた。
俺は美化委員なのだ。
自分の部屋の掃除はしないが学校の美化には努めるという、なんとも矛盾した存在なのだ、俺は。

夕方、委員会の仕事を終えて達成感と共に家に帰ると、リビングで母さんに小言をくらった。
「幸ちゃんにまた部屋の掃除させたでしょ?いい加減にしなさい!何でもかんでも世話してもらってんじゃないわよ!」って。

俺の部屋が汚くて困るのは俺だけだから、別にいいじゃねーか。
ちゃんと学校はキレイにしてんだからさー。

心の中で文句言って階段を上がる。

そういや幸前はどこだ?台所にいなかったな。
俺の部屋か?

「今帰ったぞー。」
と、言いながらドアをガチャリと開ける。

そしたら。

「おかえりにゃん!」

猫耳カチューシャをつけた幸前が、俺に飛びついてきた。
飛びついてきた幸前を縦抱っこ。

「おお。ただいま。
どした?やけにかわいいカッコしてるな?」

耳をすんすんしてくる幸前を抱っこしながら、なんとかドアを閉める。
こんなとこを母さんに見られたら、さすがの俺も恥ずかしいものがある。

「今日は、猫の日なんだってぇ。
だから、猫ちゃんなの。」

「ふは。ずいぶんでかい猫だな。」

俺の首に手を回してぎゅーって抱きついてくる幸前をベッドに下ろす。

「俺、今日は猫ちゃんだから、ちーちゃんが俺のことお世話してぇ?」

お世話…。そうだな。いつも俺が世話になってるから、たまには俺が幸前の世話をしないとな。

「ん。どんなお世話してほしいのかな?幸前にゃんこは?」

ごはん作って〜とか?食べさせて〜とか?

猫にするみたいに、幸前の喉をなでる。
幸せそうに目を細めた幸前は、照れたようにはにかみ、頬をすりすりしてきた。

「やだぁ。ちーちゃん!俺の口から言わせないでぇ。」

…おいおい、どんなお世話をすりゃいいんだ、俺は。
幸前が口に出せないお世話って…。

ま、俺も男だし。
期待してるなら、応えるのもやぶさかではないが。





あとがき

あと、「手紙の君」だったら、安堂くんが猫の着ぐるみパジャマを準備して、透くんに着てほしいって迫りそうだなって…。
思いつくのが遅くて書く時間がなかった…。すみません。…ばたり。


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