05
大宮が、俺を送ってくれる?
なんてこったい。
嬉しすぎだろ。優しすぎだろ。紳士すぎだろ。
…でも。
何か言われるのかな。
何かしゃべれよ、とか。
お前といてもつまらねぇんだよ、とか。
そんなこと言われたら、悲しすぎて死ぬかも。
いや、そんなこと言われても仕方ない態度だったけどさ!
「家まで何分くらい?」
「…10分くらい。」
そう、タイムリミットは残り10分。
その10分で、何とかせねば…。
「真田、手、つなぐの嫌?」
俺が焦っていると、大宮が話し出した。
「…嫌じゃ、ない。」
むしろ、常に手ぇつないでいたいです!!
「じゃ、手、つないでいい?」
はい!
大歓迎っす!!
大宮が差し出した左手に、俺はそっと触れた。
そして、映画館でできなかった恋人つなぎをする。
うはは。嬉しい。
何だこれ。このゾワゾワむずむずする気持ち。
嬉し死にしそう。
「今日、楽しかった。ありがと。
今度は俺がプラン立ててみる。
真田が楽しんでくれたら、俺、嬉しいから。」
俺も、大宮が楽しかったんなら、嬉しいよ。
俺の好きなものを気に入ってくれて、ありがと。
と、心の中で思いつつ、声を出せない俺。
ああ、もう家に着いちゃう。
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