02

「はい、お弁当。」

二学期になってから、俺と真田はお互いが作った弁当を交換するようになった。

「ん、ありがと。
はい、俺のもどーぞ。」

真田から弁当を受け取る。
フタを開けると、カラフルな中身。

見た目もキレイだし、肉も野菜もバランスよく入ってるし…。
そんで、おいしいし。

ものすごく箸が進む。
やっぱ、料理上手なんだな。

俺の作った弁当を食べる真田を、ぽけーっと見る。

…美味しそうに食べてくれてる。
ホントに、美味しいのかな。
そうだといいな。

おかずの何品かは、昨日の晩の残りで、俺が作ったやつじゃないんだけど…。
もっと修行して、自分で全部作れるようにならねば。



昼休みも下校時も、真田は誕生日のことを何も言わなかった。

…今まで言わなかったもんな。
急に今日言ったりしないか。

でも、何で言わないんだろ。
言ってくれてもいいのに。

…つか、もしかして、前に聞いたことがあるのかな。
聞いたのに、俺が覚えてないだけとか?

うっわー。
それはヤバイ。

………いや、それは無いよな。
デリカシー無し男の俺だけど…。
誕生日を聞いて忘れるはずはない。
うん。


家に帰り、リビングでゴロゴロしながら考える。


プレゼント、どうしよっかな。
夏休みのバイト代が残ってるから、買うのは問題ないんだけど。
何をあげよう…?

うーん。

つか、“15日誕生日だよな?”って前もって言ったほうがいいのかな。
それとも、15日に急に誕生日祝って、驚かしたほうがいいのかな。

うーん。

壁にかけられたカレンダーを見上げる。
あと一週間と少し、9月15日は土曜日だった。

学校、休みだ。
とりあえず、会う約束しないと。

寝転がったまま、片肘をついて考える。

…遊びに行く?家で過ごす?

うーん。

どっちがいいんだろ。
どーしよっかな。


「清二、邪魔。」


ゴロゴロしてると、母さんにふんずけられた。
痛い。

「あ、そーだ。
来週の土日、お父さんのとこに行ってくるから。
日曜の夜までひとりで何とかしてね。」

「…分かった。
お土産買ってきて。」

父さんは単身赴任で九州にいる。
…父さんにも、真田を紹介しないとなー。

つか、土曜日、母さんは家にいないのか。
それだったら、真田を家に呼ぼうかな。

いや、そーじゃなくて、遊びに行って、そんでその後で家で過ごせばいいのか。

よし、これで決定だ。

あ、でもどこに遊びに行こうかな。

うーん。



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