「い、嫌だ嫌だッ!
引越しなんかしないでッ!
ど、どこにも行かないでッ!!
ねぇ、お、俺の家に、す、住めばいいじゃん!?」
ソファに座る俺の腹に顔を押し付け、泣いているコイツは俺の幼なじみ。
俺より少し背が高くて、俺よりずーーーっっと顔が良いコイツ。
「蓮、父さんが転勤なんだよ。
俺、まだ高校生だし、ついてくしかないんだよ。」
蓮の柔らかい茶色の髪を撫でる。
「嫌ッ!高志がいなくなるのは嫌ッ!!」
蓮は、泣き止まない。
「蓮、2年経ったらさ、同じ大学に行けばいいじゃん。な?」
なんとかして蓮を宥めないと、俺は今夜眠れないだろう。
今は深夜2時で、ここは蓮の家だ。
ちなみに明日は普通に学校がある。
早く家に帰りたい。
「に、2年もッ?
そんなに、た、高志と会えないのッ?
お、俺、死んじゃう!
悲しくて、死んじゃうッ!」
あのな、幼なじみに2年会わなくても死なないと思うよ?
と、言いたいけど、そこはこらえる。
蓮は、もうすぐ高校2年になるというのに俺にべったりなのだ。
俺のことを母親だとでも思っているのだろうか?
少しでもそっけなくすると、泣く喚く暴れる。
ただし、二人でいる時だけ。
学校や親の前ではそんな素振りは一切見せないくせに、俺と二人になった瞬間に、そっけなくしたことをぐちぐち言ったりするのだ。
「れーん。俺も、蓮と会えなくなるのは寂しいよ。
でも、一生会えないわけじゃないだろ?
夏休みには、遊びに来たらいいし。
な?今までみたいに毎日は会えないけど、2年間ずっと会えないわけじゃないよ?」
俺の腹に抱きつき、鼻をスンスンさせる蓮。
「じゃあ、大学生になったら、一緒に住も?」
おいおい。
お前は俺の彼女かよ。
「…ん。分かった。」
俺はもう眠いんだ。
家に帰らせてくれ。
その一心で、蓮と一緒に住む約束をしてしまった俺であった。
あとがき
これは中編の1話目って感じだったんですけど、続きが思い浮かばなくて短編にもってきました。
縋りつき系美形、結構好きです(*´∇`)
攻でも受でもw
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