▼ロマニ

デフォルト:デニス




「こうするしかない!!!」


いきなりどうした。

突っ込む暇なく気絶させられ、目が覚めたら見知らぬ部屋のベッドの上だった。
後から教えられたがこの時スタンガンを使用したらしい。すげえ、映画みたいだ。スタンガンで気絶させられる奴っているよね。俺もなっちゃったよ、ぱねえ。


「ごめんね、唐突で吃驚したよね。ナマエがいなくならないようにするためにはどうしたらいいかって沢山考えたんだけど僕の貧相な発想じゃこうやって閉じ込めるくらいしか思いつかなくて、けど君は嫌がるだろうから他のやり方を見つけようとしたんだけどそうこう悩んでる内に怪我をさせられたりしたらどうしようかって本当に不安で不安で不安で不安で胸が張り裂けそうなんだ。ナマエ、絶対に外に出ないでね、外なんて危険が一杯で何時死んでしまっても可笑しくないんだから。君が不慮の事故にあったり上司に虐められたり段差で転んだり足を踏んづけられたりとにかく理不尽な目に合うのは見たくないんだよ、もう無理だ僕にはこれ以上耐えられない助けてくれナマエ」

「奇遇だな、俺も助けてくれ。具体的に言うと素材変えてくれ」


ぐずぐずのきったない顔をしているロマニが首を傾げる。
俺の右手を動かすと、ジャラッと重たい音が鳴る。手首に鎖が取り付けられているのであった。ベッドの端とくっついている。長さはそこそこあるから、少なくともこの部屋と廊下の向こうぐらいは自由に行き来できるだろう。
長さは問題じゃない。俺にとって重要な点がある。


「俺は俯せで寝る時、手を身体とベッドの間に差し込んで挟むんだ。これ硬いから凄い邪魔で寝にくい。それに寝るまでの間よく体勢を変えるからジャラジャラうるせぇし寝れねー。てか日常生活でもうるせえしなんかもう全部うるさえ」

「ゴム製にしてみる、とか……?」

「あるならそっちにしてくれ。あ、ほら今も鳴ったうるせえ」

「ちょっと待ってて」


重量感のあるジャラジャラ。うるさい。
ロマニが別の部屋から持ってきた長いゴムと鎖を交換すると、重さもなくなったし音もなくなったしハッピー。


「……監禁、嫌じゃないの?」

「お前助けてって言ったじゃん」

「言った…けど……でもナマエの邪魔になるし……」

「こんな事しちまうくらい精神が追い詰められてるんだろ?なら一緒にいてやるよ」

「……嘘……」

「なんで嘘吐かなきゃいけねえんだよバカ」


てかこれ監禁だったんだ。言われてるまで気付かなかったわ。
でもまああのロマニがなー。監禁なー。
……よし。何も考えず言った事だが、良いだろう。友達がここまで追い詰められるほど俺を想ってくれてたわけで、なら俺もその分付き合ってやろうじゃないか。


「外は危険なんだっけ?家の中は自由に動いていいよな、絶対でないって約束するからさ」

「う、うん!外は駄目!約束してくれるならそのゴムも外すね」

「おっしゃー」

「……これからは、ずっと一緒に暮らそうね。ナマエ。ここにいる限りもう痛い思いも悲しい思いもさせないから」

「おー、よろしくなロマニ」


で、結局ロマニはどうしてこんなに思いつめちまったんかね?



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