▼ディオ

デフォルト:エイベル




寂しいなんて類型的な言葉でこの穴を表していいものか。
しかし、寂しいという感情は本物だった。
痰と共に吐き捨てる想いと言うべき物が生まれたのは貴様の所為だというのに俺の前には誰も居ない。

(ナマエ)

仮面を被った日から一度として浴びた覚えのない光が射す。
刺されていく、身体が。
痛覚は既に存在しなかった。だがボロボロと崩れていく感覚はあった。

(ナマエ)

動けないように拘束され何も出来ない身体。神でも支配者でもない敗北者が行く末はなんだというのか。
終わる。もう下半身は全て灰になった。あと僅かばかりで上半身と頭も消えることになるだろう。
そんな時に思い浮かぶのは、男の顔だ。

(ナマエ)

不意にかつての感覚が甦る。
肌を柔らかく包むこれは朝陽だ。眼を閉じていても感じるこれは天日だ。
ああ、思い出した。

(ナマエ)

ナマエは太陽のような男だった。
しょっちゅうそう例えては揶揄った言葉を今まで忘れていた。
仮面を被り、夜に生きるようになってからだった。

(ナマエ)

安堵と確信が身体を襲う。最早DIOを形成する全ては灰燼と化す。

(ナマエ)


彼が笑っていた。
俺を見て笑っている。
確信は間違いではなかった。
天国は此処にある。


「お帰り、ディオ」


寂しいなんて類型的な言葉でこの穴を表していいものか。
しかし、寂しいという感情は本物だった。
痰と共に吐き捨てる想いと言うべき物が生まれたのは貴様の所為なのだから、早く俺を持て成せよ。



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