成り代わり | ナノ


つんつんと突いてみる。無反応。
挨拶してみる。無反応。
エミヤが作ってくれたご飯の匂いを嗅がせてみる。無反応。
捨ててしまおうかとぼやいてみる。無反の……お?


「っ……、……!」

「お、おお?」


とてとて。拙い足取りでやってきたかと思えば俺の指に触れてくる。
一切表情が動いていない筈だが、何故だか焦っているように見えた。
もしや、と考えが一つ思いつき再び捨てちゃおっかなと呟いた。


「……!……!!」


ふるふる。首を激しく振り、指に触れる力が強まった。
綿が詰まったような柔らかな感触が強まっても痛くはない。
ふへっ、と変な笑みが零れた。


「嘘だよ、大好き」

「!!」


最初はほっとして、そして怒りだした小さな生き物に、俺はますます笑顔になってしまったのだった。
……それにしてもこの生き物、本当にエドモンに似ている。



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