成り代わり | ナノ


もっきゅもっきゅとご飯をいっぱい頬張って、美味しそうに食べるセイバーは王ではなく、ただの食い意地がはった女の子にしか見えない。
ずばり言うと、可愛い。
元々見目麗しい美少女だっていうのに、にこにこと楽しそうに、でも真剣にオレが作った料理を食べてくれるセイバーって良い子だと思う。
オレより年上なのにな。
年上に見えないわけじゃないんだが、この場に限っては幼く見えるし、愛らしい。
……うーん。セイバーを召喚した当時のオレ、ぐっじょぶ?
性格も見た目も良いって貴重だよな。こうやって一緒にいられるのが幸せって言うんだろう。世の中の男どもがオレの現況を聞いたら絶対羨ましがるな。
セイバー可愛い。


「ナナシ……あの」

「ん?どうしたセイ、ってどうした顔赤いぞ!?風邪か、ええと風邪薬はどこだったかな」

「い、いえ!そうではありませんナナシ、私は大丈夫です」


慌てて席を立とうとするオレにセイバーは慌てた様子で首を振り宥めた。


「そうか……?でも本当、まっかっかだぞ」

「だ……大丈夫ですから。ただちょっと……」

「ちょっと?」

(恐らく口にしていないつもりなのでしょうが、私に対する褒め言葉一から十まで駄々漏れですナナシ……!と素直に言えたらどんなにいいか!)


頬はまだ赤いままだが、小難しそうな顔で悩んでいるセイバーを名無は首を傾げてみる。
その仕草にセイバーの母性本能が刺激され更にきゅんときているのだが、名無は知る由もない。


「と、あの、ご飯……何時も通り、美味しいです。ナナシ……」

「えっ?ああ、セイバーにそう言われるとすげえ嬉しいな。喜んでもらえて何よりだ。セイバーって何時も美味しそうに食べてくれるから、作り甲斐がある!」


へへ、と笑みを浮かべて嬉し恥ずかしそうに頭をかく名無を見て、抑えきれなくなり今まで我慢していた分も含めてセイバーは胸を押さえた。


「へ、あ、セッセイバーやっぱ大丈夫じゃないよな?布団敷くから今日は早めに休め?な?な?」

(ああ私のマスターがこんなにも可愛い!)



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