「藤ねえ!」
とことこと後ろをついて回る士郎。あー可愛い!もっと士郎の声聞いていたい!
声掛けに気付かない振りをしていると、ぱたりと声掛けが止んだ。
……やばい、やりすぎたか?と恐る恐る振り返ると、案の定俯いて表情がみえない士郎がいた。
「うわーんごめん士郎ー!!」
「わっ!?い、いきなりなんだよ藤ねえ!?」
しょんぼりする士郎も可愛いけど、でもでも、しょんぼりさせたいわけじゃないんだよー!分かってこの姉心!
「士郎、大好きだからね!」
どんなに注ぎ込んでも零れ落ちるって分かってても、やっぱり放っておけない。
「士郎、大好きだよ」
「……知ってる」
今じゃこうやって返してくれるようになった。
あの頃と比べて無茶が出来る範囲も広がったし、今もなにか危ない事をしてるだろうけど、私が出来ることはこれくらいだ。
「オレも藤ねえが好きだ」
「わお、それじゃあ私たち両想いじゃん!」
「そうだな」
「じゃあじゃあ、士郎が高校卒業したら結婚しちゃう?」
「うん、そうしよう」
「ひゃっほー!……えっ、良いの?」
なんか、すっごい吃驚するような返事が来たんだけど。結婚相手ってこんな簡単に決めていいの?決めちゃっていいのかい士郎くん!?
「何言ってんだよ。オレは藤ねえの事が好きだし、藤ねえもオレの事好きなんだろ?」
「そうだけども」
「……オレ、頑張って働くから。弁護士になる。絶対にひもじい思いはさせないぞ」
「そ、そっかー、士郎ってばそんなに私のこと好きかー」
「ああ、好きだ」
あ、きゅんときた。……士郎と結婚かぁ、悪くないどころか、すごく良いな。
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