今日は幼馴染である零の家に遊びに行くからには、何かしらの手土産を用意せねばと町をぶらぶらしていた所、不意に滅茶苦茶強い力で肩を掴まれた。
「お前、どうして……!!」
「いだだだだ!ちょっと、メリメリいってる!痛いって!」
「痛い……?本当に痛いのか」
「おう、痛い!」
よく見たら掴んできた相手は今日のお目当てである零だった。なんか俺も零もお互いに混乱してるし、力が抜かれて拘束が緩んだ隙に手を引っぺがして頭を叩く。
「痛いなら、間違いなく生きてるな……」
「そりゃ生きてるだろーよ。ほい、とっとと涙拭けよ零」
べちべちと頭を何回か叩き、何故か涙ぐんでいる零にハンカチを差し出す。
何に感極まってるのかよくわからないが、夢見でも悪かったんだろうか?まあ幼馴染が滅入ってるなら助けるのが当然だな。落ち着くまで話そう。
「スコッチ……お前、生きてたら何で連絡しないんだ」
すんなりハンカチを受け取った零は普段より素直な印象を受ける。何時もはもうちょっとツンツンしてるのに。悪夢効果か。
「え、今朝メール送ったばっかだよな?……酒の名前だったか」
「何を言ってるんだ、全くお前は相変わらず……いや、すまない、そうだよな。何かしらの事情があるに決まってるし、そう簡単に説明出来るわけがないか」
「は?」
「というか変装一つしないでうろつくのは危険だろうが!これが組織の奴にバレでもしたら……近くにセーフハウスがある、そっちに移動しよう」
「あ、ああ……」
今度は晴れやかな顔になった零と些か話が噛みあわず、言っている内容に首を傾げながらも頷いた。
……俺達、実はよく似た他人だったりしないか?
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