「見て、見て」
「どこ?」
「茶色のモジャモジャの隣」
「赤毛のやつ?」
「顔見た?」
「綺麗だった」
「あの傷を見た?」

(うーん、想像以上の自体には陥らないようですが……)

いやしかし、注目度が半端ないです。
朝食をとろうと歩くと目線が右へ、ああハミーに話すことがあったと動けば目線が左へ、常に囁き声がつきまとっています。

「キャサリー、だから言ったでしょ。あなたって有名なのよ」

同室のパチルがなぜか勝ち誇った顔で朝食の最中にこう言ってきた。
私はいたって普通なんですけどねえ。
あのハゲが襲ってきた時も、私、なにもしていませんし。恐らく父か母、またはその両方が私を守るために命を呈して何かの魔法をかけてくださったのだと思いますよ。多分。

知り合いの中で一番距離が近いハミーは、爪先立ちで私を見ようとしたり廊下ですれ違った後でわざわざ逆戻りしてきてジロジロ見る他の生徒たちに辟易しているらしく、「あなたと喋ると楽しいけど、あなたといると落ち着かないわ」とイライラした様子で苦言を申し入れてきた。
思わず言ってしまった言葉らしく、その後にハッとなりすぐ謝ってくださいましたけれど。

ええ、きちんと状況を読める聡い子は嫌いではないですよ。
この地位に納まったのは私が望んだことではないと、彼女は理解しています。こそこそと指を差されて噂の種になるのが私のせいであり私のせいではないことを、彼女は智見しています。
私の容姿と近くにいる貴女の容姿を見比べられ、差をつけられ、鼻で笑われて。
それらは私が根本的な原因です。しかし、私を取り巻くファクターがそれ以上に目に余る。

だからこそ、今辛労しているのでしょうね。
鋭い子は鋭いからこそ悩みます。頭が良い子は頭が良いからこそ苦しみます。聡い子は聡いからこそ、周囲の愚かさに労してしまうのです。

若いながらも決して低くはない壁に当たった貴女が、一体どのようにその壁を飛び越えるのか。いや、壊すのか。消え去るのか。それとも逃亡するのか。
何歩先、何十歩先、何千歩先、何億歩先に私は立っています。
その道筋に幾重にも重なる壁が立ちはだかっています。それらを貴女がどうするかは、貴女の勝手。貴女の自由。
可能性は無限大ですよ、ハーマイオニー・グレンジャー。

手持ち無沙汰のまま待っているつもりは毛頭ありません。
そもそも私は隣に立ち笑いあい、背中を支え合って励まし合い、正面で向かい合って対等に話す友を必要としていないのですから。


ホグワーツでの第一歩
(まあ、あのハゲが私の家にこなければこんな境遇で動くこともなかったんですけど)

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