獅子座の輝きは消える


ほう、と息を吐けば白い煙として大気に現れる。
この現状は冬の楽しみの一つだ。


「ナマエ様、そろそろ……」

「ああ、クリーチャー。分かったよ」


愛するクリーチャーの忠告で、僕は小屋の中へと戻る。
あの忌々しい家から身一つ杖一つで飛び出て早1年。
諦めたのか、その気は毛頭なかったのか、クリーチャーの錯乱が上手くいっているのか、僕の所に魔法のまの字も存在しない。


「ナマエ様、ココアでございます」

「ありがとう」


この幼い身体では余り無茶をすることは出来ない。ちょっとした風邪でも寝込んでしまうし、短い手足では普通のテーブルにも届かない、重い荷物を持つことは出来ない。

この身体の母はどうなったのだろう。
この身体の父はどうなったのだろう。
この身体の兄はどうなったのだろう。

今の僕には関係のないことだけれど。

……ともかく、数年後の夏にあの古狸から手紙が送られることがないよう、頑張るしかない。


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