もしもし、聞こえますか? ドイツ連邦に所属してた捏造国家女主。プロイセン相手。 現代だと亡国になり、ドイツの地方を担当しつつ後続に力を譲ってた。 段々と消える予兆的なものが出てきた時、月のものが来なくなる。これも消える予兆の一つなのか判別がつかずとりあえず病院に行ってみるとおめでただった。「ほぼあああ!!」とめちゃくちゃ驚く。 そんな……ありえない……とガクブルしている女主に医師が心当たりないんですか?と聞いてくるが、心当たりはある。「 何度も検査し直してマジで妊娠だYO!と受け入れた後、心当たりの相手の元へGO。そこから始まる四苦八苦マニュアル頼りなドキドキ新婚&妊娠&同棲生活。一生縁がないと思ってたものがバイクに跨り窓ガラスをブチ割りながらやってきた。 「うぼぁっ……こ、ここに?赤ちゃんが?心臓がもういっこあんのか?」 「妊婦見たことぐらいあんでしょうが。動揺しすぎ」 「あ、あるけどよぉ、いやその、信じられねえけど俺の子だろ?」 「そうね、今年に入ってあんたとしかセックスしてないからあんた以外の可能性は無いわ」 「こっこここ今年ってお前まさか去年は俺以外の奴とヤってたのか!??!」 「どうだろうね」口笛 「てめえこの阿婆擦れ!裏切りもの!」がっくんがっくん 「ああ嫌だ嫌だ、短気な男は嫌いよ、暴力亭主!」 「ぐぼはっ亭主!!!?!?」 「あんたには実感ないから分かんないんでしょうけど、ここには私以外にも命が宿ってるんだから暴力はんたーい」 「……お、俺が、亭主…………父親になるのか……」 息をするように喧嘩しながら新居を決めて引っ越す。女主が静かな場所がいい落ち着ける場所がいい人気の無いところがいいとゴリ押し、しかしいざという時も考慮し折衷案で郊外になった。 女主はドイツとも仲が良い為同居も考えたが、新婚二人に外野が入り込むのはよくない(byマニュアル本)とドイツが却下した。外野なんかじゃない!と二人してぶーたれるが却下。ちょくちょく新居にやってきて掃除したり料理の作り置きをしたりしてくれる良い弟さん。 途中経過 「うおおおお……」 「どう、ここまで分かり易けりゃいい加減分かるでしょ」 「……」じわり 「泣くほどか」 「俺とナマエのガキがこん中に……」 「しっかりしてよ、お父さん」 「おう、任せな!おむつの替え方はばっちり練習してあるぜ!夜泣きの対処にミルクの作り方、後は」 「いやそうじゃなくて、収入の方。しっかり稼いでよ」 「ケセセー……」 途中経過その二 「何してんだナマエ!!!」 「たいしたことしてないわ」 「脚立になんか昇って危ねえだろ!俺様を呼べ俺様を!」 「この程度なんてことないし」 「もしもの事があったらどうすんだよ!!脚立が壊れて倒れたりなんかして、お前も赤ちゃんも駄目になっちまったら俺は…………お、俺は……」ぶわっ 「あー、はいはい、次からは全部ギルベルトに押し付けてやらせるわよ」 途中経過その三 「ギルベルトさあ、やっぱ前と比べて変わったよね?」 「まーな!俺の格好よさとテクニックが合わさればどんなに泣き喚く赤ちゃんでも宥めかす自信があるぜ!」 「そういうのじゃなくてそっち」 「あん?」 「お腹の子をガキって言ったけど今は赤ちゃん呼びだし、あと全体的な雰囲気も丸くなったかな。ルートヴィッヒが生まれた時を思い出すよ」 「そうかぁ……?」 「あの時にこれ以上丸くなんのは無理ってぐらいの角が取れたのに、これから先もっともっと丸くなって玉みたいになっちゃったらどうするの?」 「いや知らねーよ!」 お客さんがやってきた 「やあ、ナマエ。一段と美しくなったね」 「久しぶりフランシス、君は依然変わりなく」 「……」じー 「おいおいそんなまじまじと見ないでよ、失礼だぞー」 「いやぁごめんごめん。変わったなーと思ってさ」 「ここ最近は会う人会う人そう言ってくるよ。ギルベルトが変わったのは分かるけども、私もかな」 「ギルちゃんの奴もそうだけど、一番目まぐるしいのはナマエだよ」 「ふふっ……まあ、そうだねえ。自分の身体をここまで労わるのも、労われるのも初めてだし」 「あ、今の顔」 「なになに?」 「とっても綺麗な顔でお腹を撫でて、お兄さん見惚れちゃった。もう立派なママンだなあ」 「そっかあ、私立派なお母さんかあ」 「……うん。今のナマエは世界で一番綺麗!」 (この子もナマエも、あとギルベルトも、どうか幸多からんことを) どういう風に産まれるんだと心配されていたが、いざ産まれた子供は化身の歪な時間軸の影響を受けないこと以外は至って普通。難産で酷く痛い思いはしたものの母親も子供も無事。 妊娠が切っ掛けか、はたまた別の要因があったのか、消失する気配が女主・普共にぱったりと消えていた。そのかわり、ただの人間のように老いるようになる。子供と同じく時間軸の影響は受けないまま。 幸せな日々を過ごすバイルシュミット一家と、その一生を暖かく優しく、羨望を抱えながら見守る国たちの話。 |