狂いたいのに狂えない話


「もう嫌だ、手術なんてしたくないよ、血なんてみたくない、嫌だ嫌だ嫌だ」

「ふうん。けど、お客さんの整形とか怪我を治さなきゃ、お金貰えないよね」

「……でも、嫌だ」

「我が儘だなぁ名前は。そんなんじゃ運び屋から愛されないよ?」

「……セルティは、僕のこと愛してなんかいないよ。僕も、セルティのことを愛してない」

「首がない化け物を愛せる方が可笑しいんだよ」

「……そう、だよね。でも、でも僕は……」

「あのさ。俺も暇じゃないの。名前の一語一句違わない愚痴を聞いてる俺は優しいと思わない?思うよね。ほら、さっさと帰った帰った」

「……ごめん臨也。聞いてくれてありがとう」


愚痴聞き代としての報酬なのか、名前は財布から2万を取り出してテーブルの上に置いた。
青白い顔のままの名前が部屋から去ったことを確認すると、臨也を溜息を吐く。


「……俺も随分、不毛なことをしてるな」


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