明日を生きる


この忍術学園に期待のニューフェイスがやってきた。摂津のきり丸である。
なんときり丸は入学金を全て自分で稼ぎ切り、小銭で払ったのだ。そのド根性っぷりに学園では一部で話題沸騰だ。


「俺らも負けてらんねえよな!」

「おう、まったくだ!」

「見たか?一年坊主のあのやる気に満ちた銭の目、泥水啜ってでもっていう気合いがあるぜ」

「初心忘れるべからず……生きるために稼いでるんだって事を私は忘れてたよ……」

「いや、ちょっとは楽しんでもいいだろ」

「甘い!!何を言ってるんだ貴様!!」

「そうだぞ!苗字の言う通り甘いんだよお前は!前々から思ってたがな!」

「あ゛ぁ?やんのかゴラ」

「他人を思い遣る情も心を豊かにするための友人も俺たちには必要ない、必要なのは明日を生きる覚悟とコネだ。楽しむ感情なんて生きるのに邪魔なだけだ」

「楽しくない人生って生きる意味あんのかよ」

「楽しくなきゃ直ぐ死にたいってか?」

「んなこと言ってねーよ!」

「いいや違うね、お前が言ってたのはそういう事だ」

「テメェ屁理屈こねんじゃねえぞ!」


――ガラッ


「おーい、きり丸つれてきたぞー」

「失礼しまーす」


「「「「いらっしゃいきり丸君!天涯孤独の会にようこそ!!」」」」


「は……え?」


「血反吐吐いて死にかけても絶対卒業しようぜ!」

「良いバイトあったら紹介してやんよ!」

「美味しい雑草の場所教えたげる!」

「天涯孤独の会のリーダーをやってる苗字名前だ、よろしくなきり丸。この会は週一で開かれる。話し合う内容はこいつらが言った通り、鍛錬をしたり給料がいいアルバイトを互いに紹介しあったり、元手タダで食べられる物を見つけたりといった感じだ」


「なるほど、そういうこと……こちらこそよろしくおねがいしまーす!」


「「「「「よろしく、きり丸!!」」」」」


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