main | ナノ




ひだまり


薄っすら目を開けると、窓から差し込む月明かりが異様に暖かく、揺れているように見えた

ベットサイドの時計を首だけ曲げて確認すると、まだ夜の4時だということが判明

あと一時間は眠れるか

そう呟き、寝返りを打とうとすると体が動かないことに気がついた

目線をしたに下げると腰に回された腕


「旦那…?」

「なんだよ」


即答。しかもなんか超不機嫌。


「あの…これはどういう…」

「うるせぇ」


人の睡眠邪魔しといてそれはないだろう、と悪態をつくと更に腰を強く締め付けられた


「ちょ、旦那、苦しい…」

「黙ってろ」


えー、と弱々しい反論をする

そもそもなんでこんなに不機嫌なんだ?

即答だし。単語づつでしか返ってこないし

もしかして夜這い?

そんな下心満載のオイラの子供な考えはすぐにかき消された


「グスッ…」


鼻をすする音

背中越しに旦那の"しまった"という心の声が聞こえた


ああ

そういうことか


「旦那…」


腰に回された腕をゆるく解き旦那の方へ体を向ける

一瞬だけ月明かりに照らされた旦那の頬には涙の跡

とっさに顔を見せないように下を向く旦那が愛おしいくて愛おしいくて

優しく抱きしめると腕の中の旦那は小さく抵抗をし始めた

やめろ、と言われたので更にきつく抱きしめる

旦那が口を開くよりも一瞬早く、オイラが口を開く


「あったけぇ」


ふわふわとした赤毛が揺れた

オイラ胸に押し当てられた手のひらが強く握り締められた


「…嘘つけ」


涙がシーツに吸収されて、その色を黒に変えた


「俺は…傀儡だぞっ、」


旦那の手が涙で濡れたシーツの部分を握りしめた


「…体温なんか…あるっ、はず…ない」


最後の言葉は旦那の頭が強く押し当てられたオイラの胸に吸収されて、その色を黒に変えた

オイラはなにも言わず、旦那の髪の毛をただくしゃくしゃにかき回した

腕の中にすっぽりと収まったオイラよりも少し小さいこの三十五歳は、あまりにも脆過ぎる心をあまりにも硬過ぎる傀儡で覆って生きてきたんだろう

でも、殺さないといけない相手が子供の写真を出して命乞いなんかをした時にとどめをさしきれないのはきっと傀儡の隙間から直接流れ込んで心を刺激するから

それならむしろ傀儡なんか全部引っぺがしてさ

オイラが代わりに旦那の心を覆ってやるから


「好きだよ」


もう一度強く抱きしめた旦那の目からこぼれ落ちた涙がシーツに吸収され、その色を白に変えた


ひだまり


「旦那、朝だ」



fin.


____________________



蘭様、デイサソのほのぼのということで、こんな感じに書いてみました!

人肌が急に恋しくなるサソリが可愛いなぁと思いまして★。゚+(´・∀・`)+゚。★

少し短めになってしまってすいません…

何かありましたら書き直しますんで、その時はご連絡ください(ノ)・ω・(ヾ)

蘭様、リクエストありがとうございました!

   

back to main





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -