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夜道グレーテル


※性的表現あり

※後味悪め





ずっと、好きだった


「イタチ」


ずっと、こうしていたかった


「ごめんな」


夜道グレーテル



"優しい兄"なんて簡単な位置づけに違和感を感じ始めたのはいつからだっただろうか

イタチに対する感情は徐々に質量を増し始め、それは俺の手だけで支えられる程軽いものではなくなってしまっていった

イタチへの欲望は絵の具を塗り重ねるかのように日に日にその色を深くしていった


「どうした、サスケ」


両親は出かけていて、家にいるのは二人だけ

部屋のドアを開けると、ソファーに座ったイタチは読んでいた本から顔を上げ、俺に向かって微笑みかけた


「兄さんが、……」

「俺が何?」


少し顔をしかめ、軽く受け流す


「何読んでんだ?」


そう言って隣に腰をおろすと、イタチは自分の質問は無視されたのにもかかわらず、親切に本の説明を始めた


「そうだなぁ…この本は……」


ふわりと鼻を通り抜けていくどことなく甘い香り

柔らかな白い肌

はっと呑まれる息


「……って、サスケ?」


声が耳元で聞こえる

抱きしめたイタチの細すぎる首筋に顔を埋めた


「サ…スケ?」


イタチは戸惑ったような声でもう一度俺の名前を呼んだ

その声が、俺の神経を通って、やがて脳へ達し、隙間に入り込んで感覚の動きを鈍くさせた

軋み出す理性

目の前が眩む

首筋から顔をあげ、顔を遠ざけようとするイタチの後頭部をしっかりと抑える

そのまま優しくキスをした


「兄さんが…欲しい」


耳元で囁くとイタチは一瞬だけ肩をびくりと震わせた

流れ出す沈黙

時計の針が正確に時に区切りをつけてゆく

かち、かち、かち

沈み込む酸素

気管が詰まる、


やがて、ソファーに深く沈み込んだイタチの口から溜息が漏れた


「…いいさ、好きにすればいい」


イタチの言葉はあまりにも突然で、その衝撃は俺の理性を容易く粉々に砕いてしまった

イタチから本を静かに取り上げ、その動作の流れのまま覗き込むような形でもう一度キスをした

徐々に激しくなるキス

何度も何度も角度を変え、イタチが薄く口を開いた隙に舌を口内に侵入させた

生ぬるい舌の感触はまるで目が痛くなる程の真っ白い部屋に閉じ込められ、脳が上手く機能しないような、そんな感覚を思い出させた

突然の侵入者に耐えきれなかったらしく、唾液がイタチの口から零れ落ちて頬に筋を作った

前歯を丁寧に舐めあげる

仕上げに舌に吸い付き、ちゅうと音を立てて唇を離した


「はぁ…はぁっ」


あれ、

なんだ


「兄さん?」


返事がない

何かがおかしい

いつものイタチじゃない

イタチの目は俺を見ているのに、イタチ自身は俺を見ていない


ああ、そうか

今、気づいた


イタチは


"いいさ、好きにすればいい"


あの瞬間、

俺の全てを受け入れる覚悟を決めたんだ

自分の気持ちを殺してまで

傷つけないように

俺を傷つけないように

文句ひとつ言わずにされるがままになっているイタチは何故かいつもよりか細く見えた

それと同時に鉛のようにずしりとしたものが胸の中に沈み込んだ


仕方ないんだ、もう止められないんだ

と、誰にも届かない言い訳をした


そして俺はイタチのズボンのチャックを下ろし、ペニスを優しく取り出す

そのままイタチの前にしゃがみ込み、それを口に含む

丁寧に舐め続けると、徐々にイタチのペニスは質量を増してゆき、それに合わせて呼吸も荒くなっていった

上目遣いながらにイタチの方を見る

イタチは必死に顔をしかめ、迫り来る性的快感に耐えていた

抵抗はしない

声を出すまいと強く噛み締められた唇に軽くキスをして、イタチの体を反転させた

ソファーの背もたれに手をかけ、こちらに背中を向けるイタチのズボンを曲げられている膝辺りまで下ろす

滑らかな曲線をなぞり、そのままアナルに穴に指を二本侵入させ、中をかき回す

イタチの肩はびくりと大きく跳ね、吐き出す息は更に荒くなっていった


「兄さん…挿れるよ」


俺はズボンのチャックを開け、勃起した自身のペニスを取り出した

後ろから背中に覆いかぶさるようにして静かに埋め込む

ついに耐えきれなくなったイタチの雑巾のように絞り出された声が響く


「う、ぁっ…ああっ!」


イタチの中は温かくて、それでいて冷たくて、俺が今まで渇望していたものがそこにはあった

イタチの首に腕を回し、後ろから抱きつくようにして、首筋にキスを落とした



ずっと、好きだった


「イタチ」


ずっと、こうしていたかった


「ごめんな」


俺の言葉に返事が返ってくるわけもなく

ぽたり、と一粒だけ零れ落ちたイタチの涙はただ物理的に俺の心を壊しただけだった



(ああ、)

(もう戻れない)





fin.



________________________



みや様のリクエスト、サスイタのシリアスで微裏をということで、「罪悪感」をテーマに書かせていただきました(`・∀・´)

サスイタは前から書きたかったので、書いててとても楽しかったのですが、セックス表現に慣れてないものでして…変なところあったらすいません;

何かありましたら書き直しますんで、その時はご連絡ください*

リクエストありがとうございました!

   

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