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白旗を挙げる君


※今回のトビは「デイダラ先輩ー!」って言ってる方のキャラです



「先輩。なんスか、その格好」

「なにって。デイダラ風呂上りバージョン」

「意味わかんないっス。服を着てください。服を」

「暑い。だるい。面倒臭い。」


暁のソファーは角都が足を伸ばしてゆったりと寝転べるほど広い。

右側にトビ。左側にオイラ。オイラたちの距離はかなりある。

それなのになんなんだこいつは。俺が腰に一枚タオル巻いてるだけだからってお前に文句言われる筋合いはねぇ仮面ひっぱがすぞコラ。


「服を、着て、ください」

「あーうるさいうるさい」


手を蝿を追い払うようにひらひらさせると、トビがいきなり立ち上がった。


「服着てくれないと僕、なにするかわからないっスよ」


どういう意味だ。

眉間にシワを寄せる。

まさか、


「オイラのこの姿に興奮してる、とか?」


トビが目をそらす。


「…だったら、どうするんスか」


おいおい、マジかよ。

オイラは顔をしかめ、ソファーに身を沈める。

…ちょっと待て。

これはいつもいつも馬鹿にしてくるあいつの弱みを握った事になるじゃんオイラ天才。


「今のデイダラ先輩の表情の変化がすごく不気味だったんスけど」

「そんなこと言ってられるのも今のうちだぜ。今からお前にオイラの真っ裸を見せてやるざまあみろ」

「は」

「今からタオルを取ろうとするこの手を止めたいなら、一生オイラを崇めることを誓え」


オイラは自信満々にそう言い、タオルに手を伸ばす。



次の瞬間、頬にわずかな風を感じた。

不覚にも閉じてしまった瞼を恐る恐る開くと、

トビが目の前にいた。

しかも何故か押し倒されてるし。両腕あたまの上で固定されてるし。


「それは反則だろ」

「黙ってください」

「そんなにオイラのが見たくなかったのかよ」

「そういう問題じゃないっス」


じゃあ、どういう問題なんだよと悪態をつこうとする口をトビの唇で塞がれた。



意味がわからない。

目の前には面を横にずらし、その隙間から素顔を少しだけ覗かせているトビ。

薄い唇が開く。


「先輩が悪いんです」


いつもとは違う低い声に心臓が跳ねるのがムカつく。


「僕は先輩が好きですよ」


徐々に顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。

口が酷く渇いてろれつが回らない。

信じられない、というように首を振ると今度は少し強引なキスを迫られた。


「そんな人の気持ちも知らないで」

「んっ…トビっ、ま、待てっ、て」

「僕の気持ち弄んで、楽しかったッスか」


トビの舌が首元へと移動する。

初めてのその感覚に背筋がゾクゾクとする。


「やっ、…」

「もう遅いです」


チクリとした痛みが走り、キスマークですよとトビが小さく笑った。


どうして、

どうしてこんなにもドキドキするんだろう。

生暖かいトビの舌に、少し強引な言葉を乗せる低い声に

いつもとは確実に違うこいつの全てにオイラの心臓はとうの昔に狂ってしまったようだ。

そうか、オイラは、こいつが


「トビっ」


こいつが


「…なんスか」


こいつが


「好き、だよ」









「え?」


トビはそれまでオイラに覆いかぶさるようにしていた体を少し起こし、その状態のまま固まってしまった。


沈黙。


その状況に耐えられなくなったオイラは体を少し起こして自らトビにキスをする。


「…文句あんのか」


唇を震わせるトビは首を横に振り、再びオイラに覆いかぶさった。


「あー…、ちくしょ…」


そのままオイラの首元へ顔を埋め、ポツリと呟いたトビの顔が真っ赤に染まっているのをオイラは見逃さなかった。




白旗を挙げる君


(罰ゲームに甘い甘いキスを)




fin.


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今回のトビデイは甘くしてみたつもりなんですが…(´・∀・`)うーん

   

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