※イタチ目線
※里抜けてしばらくしたときの設定
窓から差し込む鋭い太陽の光に瞼を刺激され、俺は目を覚ました
太陽よりも遅く起きるなんていつ以来だろうか、なんてことを考えながらいつものように眼をこすり、世界にピントを合わせていく
輪郭が絵の具を塗り重ねるように徐々に浮かび上がってくる
そして、俺は何かがおかしいことに気づいた
ここは、何処だ?
いつもの部屋とは違うこの部屋に俺は動揺を隠しきれなかった
敵に捕まったのか?監禁されたのか?
さまざまな可能性が浮かんでは消えていった
一度落ち着けと自分に言い聞かせ、部屋をぐるりと見渡してみた
壁に飾られた一枚の絵を目が捉える
"兄さんへ お誕生日おめでとう"
あれは、
サスケが俺の誕生日に描いてくれた似顔絵じゃないか
そうか、思い出した
ここはあの頃の俺の部屋だ
心臓の鼓動が早まる
とりあえずベットから腰を上げ、部屋全体をもう一度見渡してみる
ふと、壁に立てかけてある少し大きめの全身鏡が目に付く
アカデミーに入った時、ここで父さんに服の着付けをしてもらった記憶が蘇る
「イタチ、これでばっちりだぞ」
「ありがとう父さん!」
あの頃の自分は父さんに着付けをしてもらったことが何よりも嬉しくて、何度も何度も鏡を覗き込んでいたのだ
今、二人の人間が鏡の中で重なる
やがてあの頃の自分は空気に溶けるように消えていき、いつもと変わらず冷たく赤い瞳をした無機質な男だけがそこに残された
おかしい
どうして俺は今、この場所に立っている?