今を変えれば未来が変わるって話はよくあるけれど、過去を変えれば今が変わるって話はどうかしら？

方法は簡単。タイムスリップする必要はなし。

さあ、ハサミとノリの用意は出来た？


over and over again






ちょきちょき。ぺたぺた。

薄暗い部屋の中に響くその音は、工作をする小学生を思わせた

まぁ、やってることは私も変わらないけど。

チラリ、と時計に目をやる

秒針に合わせてゆっくりと首を回す

そして、小さく溜息をつき辺りを見渡す


顔。顔。顔。


私はそれを愛おしく眺め、新たな写真を手に取り、あの子の顔を切り取る

ちょきちょき。

前持って切っておいた私の顔を一枚掴み、あの子の顔があった場所へ貼り付ける

ぺたぺた。

一連の動作が終わったところで私は自分の頬を撫でる


可笑しくて可笑しくてたまらない。


あの日笑ったのはあの子じゃなく、私

あの日泣いたのは私じゃなく、あの子

あの日彼と恋をしたのはあの子じゃなく、私

あの日自分を傷つけたのは私じゃなく、あの子

あの日生きていたのはあの子じゃなく、私

あの日死んだのは私じゃなく、あの子


そうやって作り変えた写真をアルバムに丁寧に戻していく

過去を作り変えてゆく


そして、私はすべての作業を終えたところでアルバムにキスを落とし、あの子に笑いかける


「死んじゃえばいいのに」


言葉の余韻を味わうようにしてゆっくりと瞼を閉じる

やがてそれは遠ざかるように消えていった



烏が鳴いているのが聞こえる

生ゴミだ。酷い臭いが鼻を通り抜ける

「ざまぁみろ」

何処かで誰かの声が聞こえる。遠い。嘘。目の前。

白い世界。上も下も右も左も分からない。

また烏が鳴いている。

白に黒が溶け込む。いや、黒に白が溶け込んでいるのか。



そうして、世界が反転する。