「ねえ、」
僕は言う。
「僕は、もう、死んでいるんだろう?」
「そうよ」
彼女は何処か遠い森を見ているかのように穏やかな目で言った。
僕は、ぼんやりとその森を想像する。
そこは、木々が無機質に立ち並んでいて、深く深呼吸をすると肺が痛むほど深い森だった。
やがて、僕はその中に彼女を見つける。
「貴方は、もう、死んだの」
森の彼女は、僕に柔らかく微笑む。
僕はうずくまる。
貴方はうずくまる。
そして、貴方の体は空気中に溶けるように消えてなくなる。
「愛してるわ」
私は風を撫で、手に持ったナイフを手に馴染ませるように、もう一度握り直す。