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酸素コンプレッサー




窓の外はそっと息をひそめて
まるでこの世界に存在しているのは俺たちだけではないのかと錯覚してしまうような夜


明りを消すと全ての感覚が少しだけ鈍くなった気がした


イタチをベットへ押し倒し、口づけしようとすると



「あなたは」



イタチによって発せられた言葉に阻止された

何を言い出すのかと耳を澄ませていると、甘い香りのする吐息と共にイタチは続けた



「あなたは、孤独だ」



思いがけない言葉に少し顔をしかめる
これだけ距離が近いと顔をしかめる音さえも聞こえてしまいそうだ



「輪廻眼を手に入れて、柱間の力も手に入れて、それであなたに何が残ったのでしょう」



何もかも悟ったようなその態度に苛立ちを覚える



「力だ」

「その力があなたから全てを奪った」



きっぱりと言い切られた言葉は、空気までもを切り裂いた



「あなたは、孤独だ」



イタチは少し眼を細めた
暗がりの中、その赤い眼だけでは表情は読み取れない


顔をしかめているのか、微笑んでいるのか



「故に、俺を求める」



黙れと心の中で怒鳴った
いや、実際には口に出してしまったのかもしれない


空気が居心地悪そうに漂っている


気に食わない
気に食わないのだ

その子供をあやすような口調が
その全てを見透かしたような眼が



「俺が貴様を求めるのではない」



イタチの細く、頼りない首に手をかける



「貴様が俺を求めるのだ」



そして、一気に力を込めた



気管を圧迫する感覚が指先に伝わってくる

眼を細めたままのイタチは
またもや顔をしかめているのか、微笑んでいるのか



そのまま強引に口づけをする


空気を欲する奴の肺は
俺の中の二酸化炭素までを求めた


ほらな、と
己の自己満足を満たし、手の力を緩める



「貴様は俺がそのうち殺してやる」



苦しそうにせき込んだイタチは息を整え、自分の両手を俺の首の後ろで絡ませた



「それはそれは、楽しみですね」



徐々に縮まる距離感が心地よくて
もう一度触れた唇は、さっきよりも甘ったるい味がした







酸素コンプレッサー

(仕方ない)

(俺の負けだ)





fin.

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マダラさんかっこいいよマダラさん!

うちは一族美形多すぎて困る(^p^)



   

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