main | ナノ




温度差





「旦那…?」









また、声が聞こえた

デイダラの声



瞼を開くと

そこはもう、あの恐ろしい世界ではなくなっていた

目の前に広がるのは見慣れた寝室の天井

デイダラが寝る時に怖いとうるさかったあのシミも

まるでこの世界に興味を持っていないかのように

ただ、そこに存在しているだけだった




どうやら俺は夢を見ていたらしい


しかし、体の震えは止まらず

頭は酷く痛み

開いた目からは何らかの液体が溢れ出ていた






「泣いてるのか?…うん」






バカ、

泣くはずないだろ

俺は傀儡だぞ

何も感じない

何も悲しいことなんかないじゃないか

今だってきっと何かの故障で










「旦那っ…」






不意に抱きしめられる






「ずっとオイラが旦那のそばにいるから…だから大丈夫だ!うん!」



























どうせ、




お前は俺の前からいなくなる




失うのが怖いのならば

最初から



「やめろ」



拒絶すればいい




熱から離れた俺の体は

すぐにまた冷えた




温度差


(ほら、)

(いつもの俺に元通り)







fin.


__________________



私の中でのサソリはやっぱりこういうイメージが強いですね(´・ω・`)




   

back to main





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -