私、ナマエには悩みがある。身長が143cmしかなくって、いつも年齢を間違われる。人に気付かれなかったり、高いところに手が届かなかったり、可愛いお洋服が着れなかったり。でも、それはもう慣れた。チビだって、いいじゃない。
私は調査兵団に入団した兄の後を追って訓練兵団に入り、調査兵団を目指した。立体起動の訓練は苦手だし、運動神経もあまりよくない。最初は失敗ばかりで、もう訓練兵を辞めようかと思っていた時に、兄に言われたことがある。それは、勉強だった。
私はひたすら勉強した。同期のアルミンと勉強会をしたり、マルコと立体起動装置を修理したり、夜遅くまで勉強した。その結果、成績はぐんぐん伸びた。やっと自分に出来ることが見つかって、本当に嬉しかった。
そして試験を1週間後に控えた夜、私は一人で資料館に向かっていた。ここは巨人についてや、立体起動装置のことについて詳しいく書いてある資料が置いてある。
いつもなら何人かいる資料館だけど、今日は夜も遅いせいか、誰もいなかった。私の足音が静かな資料館に響く。私は館の奥へと歩いた。
しばらく資料を探し、ようやく見つけた。しかし、それは一番上の段にあった。手を伸ばしても、ジャンプをしても、とても届きそうにはない。いつもなら脚立があるけれど、今日は清掃中なのか、脚立も無い。なんて不運なのだろう。諦めよう。そう思っていた時だった。
「あれ?ナマエ?」
「…エレン?」
後ろからエレンがきた。どうしてエレンがこんなところに…?とても珍しい。
「奇遇、だな」
「うん…。こんな時間にね」
同期なのに、話し方がぎこちない。無理もない。エレンは私の好きな人だから…。
「もうすぐ試験だな」
「勉強しないとね」
するとエレンは視線を上に向けた。
「あの資料か?」
「え?」
「とれなくて困ってたんだろ?取ってやるよ」
そういってエレンは、私の欲しかった資料を取り出した。さすが男の子。余裕で取ってしまった。
「ほらよ」
「ありがとう…!もう諦めようかと思っていたの」
「今度からは俺に頼めよ。いつでも力になってやるから」
「う、うん…。…ごめんね、めんどくさい身長で。エレンにまで、こんな迷惑かけちゃって…」
するとエレンは私との距離を近づけてきた。
「迷惑なんかじゃねーよ。むしろ可愛い身長だと思うぜ?俺はそういうナマエが好きだし」
………え。
「エレン、今、なんて…?」
「え?………あ」
エレンは顔を真っ赤にした。私まで顔が赤くなる。
「ねぇエレン、それ…どういう意味?」
「いや…その…おれ………好きなんだよ、お前のこと」
小さい声で、でもはっきりと告白してくれた。私は嬉しくて、エレンに抱きついた。
「わ!おい、ナマエ!?」
「嬉しい…!私もエレンが好き」
「ほ…本当か?」
「うん。ずっと気になってた…。でも相手にされてないかなって…」
「俺もずっと気になってた…。俺たち、同じ気持ちだったんだな。俺、幸せだよ」
そういってエレンは抱きしめ返してくれた。約30cm差の大きな恋愛は、まだ始まったばかり。
あとがき
自分でもびっくりするようなまとまりの無い話しになりました…。アンケートにて「エレンと小さな主人公」という意見を頂き、とても萌えたので書かせて頂きました。最初はギャグ甘にしたかったのですが…難しい(笑)運動ができる男子と勉強ができる女子の組み合わせって、けっこう好きです。ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
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