私、ナマエは訓練兵団に入った。超大型巨人が、壁を破壊したあの日、私はシガンシナへ仕事に行っていた両親を失った。遺体も見つからなくて、独りぼっちになって。悲しみにくれる中、私は調査兵団になることを決意した。
死んだってだれも悲しまない命なんだから、ちょうどいいじゃない。そう何度も言い聞かせた。もともと、外でよく遊ぶ子だったから、運動にだって自信はある。巨人だって、怖くない。死んだら、独りぼっちじゃないし、両親にもきっと会えるわ。
今日も厳しい訓練を終え、夜ご飯を食べる。まだこの雰囲気には慣れないけど、訓練の内容は少しずつこなしていけている。私は入団した時にできた友達と座る場所を探していた。どこに座ろう?そう話していたときだった。
私は見つけてしまった。
あのとき、助けてくれた少年に。私の初恋の。あの少年に。
椅子に座り、楽しそうに友達とお喋りしてる。入団したばかりのときは知らなかったな…。やっぱり、間違いだろうか?いや、違う。彼は確かに、あの少年だ。私はあのときから、ずっともう一度会いたいと願っていた。声をかけようかな。私のこと、覚えてるかな。ドキドキ、と心臓が鳴る。
「どうしたのナマエ?顔が赤いよ??」
「へっ!?き、気のせいだよ!」
「そう?じゃ、早く食べようか」
「そうだね」
私はもう一度、彼を見た。そういえば名前知らないな…。あのとき、聞けば良かった。
こんなところで再会できるなんて、素敵な運命だね。
そう思っていた時、入り口から私と同じ、東洋人の女の子が来た。背は高くて、とても美人。私は見とれていた。
「あ、あの子、確かミカサだっけ?」
「すごい運動神経よね…同じ女だけど、惚れ惚れする!」
一緒にいた友達が、コソコソと話し出す。ミカサちゃんっていうのか…。
「ナマエ!あんた一緒の東洋人じゃん!喋ってきたら?」
「え?んー…、そうね、東洋人って珍しいし」
ミカサちゃんと仲良くなりたい。でも私はあの少年に気づいてもらいたい。向こうはもしかしたら、もう気づいているかもしれないけど…。
やっと会えた。これは神様のおかげかもしれない。真っ暗だった私の未来に、一筋の光が差し込んだ。
希望の色
(神様、ありがとうございます)
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