それは、きっと


名前・苗字。

そう名乗った彼女は、エルヴィンがたまに話していた人だと気付くことに、そう時間はかからなかった。顔立ちは特別、美少女というわけではない。まだどこかあどけなさが残っている。背は俺より低くて痩せている。

しかし名前が俺に向けた笑顔は暖かかった。その笑顔が忘れられない。…なんだろう、この気持ちは。

エルヴィンは俺の表情を見て、心配そうに問いかけてきた。

「どうした、リヴァイ?」

「………いや。あんな細身で首席とはな、と思っただけだ」

俺はとっさに嘘をつく。エルヴィンが疑う様子はない。そのままエルヴィンは話し出した。

「名前は10年に1度と言われている逸材だ。体の軽さを生かした戦闘ができる。いつかは、俺たちに欠かせない存在になるだろう」

エルヴィンはそう軽々しく言うが、調査兵団の新兵の生存率は低い。ほとんどが巨人の餌になる。

「それから、名前を誰の配下にしようか迷っていてね。個人的には、ペトラがいいと思ったんだが…。やっぱり本人に聞いてみた方が良さそうだな」

「俺の配下でどうだ?優秀な人材なんだろう?俺が直々に教えてやる」

俺がそう言えば、エルヴィンは苦笑いをした。

「まさかリヴァイの口から、そんな言葉が出てくるなんてな。…いいだろう。しかし、名前は私の娘同然の子だ。絶対に死なせないでくれよ。これは命令だ」

「了解だ。俺のそばにいて死ぬことはない」

エルヴィンは真剣な表情をして言った。本当に名前を娘のように可愛がっているんだな…。

俺は名前を死なせない。エルヴィンの命令は必ず守る。

しかし…不思議な感情が渦巻く。

どうやら俺は、名前に一目惚れしてしまったらしい。

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