海底に沈む花


ガスをふかし、木々の間を飛び回る。巨人の模型を見つけ、うなじを削ぐ。これが10体目…。私は木に止まり、ダメになった刃を取り替えた。ちょっと刃を雑に使いすぎたようだ。

刃を取り替え、私は周りを見渡した。どうやらみんな、こちらには来ていないらしい。立体起動装置の音もしない。木々の音や鳥の鳴き声だけが聞こえる。

きっと討伐数は私が暫定1位か2位だろう。リヴァイ兵長は何体討伐したかな…。こんなこと考えてちゃダメだ。1体でも多く討伐しないと。

私は再び立体起動装置で、奥へと進んだ。

同じような景色が永遠と続く。巨人の模型を見つけてはうなじを削ぐ。誰もいない。そして、巨人の模型もしだいに数が減り、無くなった。どこまで来たんだろう。そして、ここが知らないところだと気づいたのは、しばらくしてからだった。

私は木にとまり、来た方向を見た。この道をそのまま帰れば、きっと戻れる。ガスもまだある。早く戻らないと。

私はワイヤーを遠くの木に刺し、木から飛び降りた。

ブチッ!

なにか変な音がしたと思い、上を見上げた。その時には既に体は地面へと落ちていた。ワイヤーがちぎれた。そう理解したとともに、私の体は地面に叩きつけられた。

「んっ…!!!」

体を蝕(むしば)むような痛みが、背中からじわじわと全身を襲う。目をうっすら開けると、さっきまで近かった木が遠かった。所々、差し込む日差しが眩しい。体を動かそうとしたが、痛くてそれができない。立つこともできないなんて…。

誰か見つけてくれるだろうか。もしかしたら、誰も見つけてくれないかもしれない。急に寂しさが込み上げてきた。なぜワイヤーがちぎれたのか、それすらも分からない。ここはどこ。

誰か、私を見つけて。

そう強く願って、私は目を閉じた。

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