ばれんたいんんん。






「あっ!!五月くん来たよ!!」
「水野くーん!!」
「さつき先輩ー」
「きゃー、チョコもらって下さーい!」
「私も私もっ」
「これもお願いっ」


あーあ。
何でこの腹黒幼馴染さんはこんなにチョコを貰えるのか。
やっぱ顔か。皆顔目当てかコノヤロー。


私は何故か五月とクラスが離れた事がない。
だから毎年嫌でもチョコを貰う場面が目に付く。
この日がくると五月は調子に乗るから腹が立ってしょうがない。
チョコを貰ったくらいで良い気になりやがってー。


こいつ、水野五月は「幼馴染だから」「俺らの仲だし」という
適当な理由をつけて、いつも私をパシらせたり、
(どこから聞いたのか知らないが私の事を何でも知っている為断れない...)
大量に「バーカ」と書かれた紙が鞄に入っていたり、
この前は消しゴムのカスをこれまた大量に入れられた。


こんな腹黒ドS野郎にチョコを渡す気持ちが理解できない、
とクラスで4番目くらいに仲の良い友人、今崎に愚痴っていた。




「あー、はいはい、また五月のことかよ」


「だってムカつくし」


「それ、嫉妬」


「...違うしー」


「はぁ...どうせ俺にくれたチョコとは違う意味のチョコ、
 あいつに作って来てんだろ??」


「っ!?」


「お前分かりやすすぎだっつーの」


「うるさいなぁ...」


「ほら、行ってこいよ」


「や、でも...」


「大丈夫、自信持て。
チョコ、最高に美味かったから。」


「...ありがと今崎」




溶けかけのチョコレート

(さつき、これ、あの、チョコ。)
(お、やっとかー、待ちくたびれたー)
(生意気ねぇ、今日も)
(っるせぇ、...っておい、ベトベトじゃねーか!?)
(あ、昨日から鞄に入れっぱなしだった)
(マジかよ...でも、お前から貰えてちょー嬉しい、さんきゅ)
(...う、ん。)





主人公ちゃんと五月くんは両想いです。
実はチョコにデコレーションで思いを伝えようとしてました。
チョコが溶けてほっとしたのか残念なのか複雑な主人公ちゃん。
今崎くんが主人公ちゃんの事が好きだったらもっと面白いかも。