「なぁ」


さっきからずっとこいつ(消しゴム)が俺に話しかけている。
一応、テスト中だから無視はしてるけど、
流石に10回近く「なぁ」って言われたら腹が立ってくる。


「なぁなぁ」


「...っ何だよ」


「そんなコソコソせんでもええやん」


テスト中だっつってんだろ!!
俺にしか声聞えないからって好き放題しやがって!!


「何」


先生に怪しまれたくないからなるべく簡潔に喋ってるけど、
ペン走らせる音しかしてない教室...流石に怪しまれるか。


でも、まあ、俺は成績優秀、通知表は毎回オール4以上の、
所謂優等生ってやつだから大概の事は大目に見てくれるんだろう。
と、この前友達の折原に言ったら
「自意識過剰マジキモい」と言われてしまった。
うるせぇよ。


「ここ分からんの??」


そう言って、一部分だけ空白の場所に移動して軽く飛ぶMONO(消しゴム)。

図星だった。


「...」


「へー、ふーん、分からんねやー、だっさー」


このMONO野郎...


「俺分かんで」


「まじで、」


「教えてほしい??」


MONO野郎とか言ってごめん、
お前超良い奴、まじ天使。


「うん、頼むわ」


やったぜ!!これで100点満点だ!!
マジ助かるー!!




「誰が教えるか(笑)」

















ガタッ



「こんの野郎ーーーーーーーーーー!!!!」


覚えとけよ!!

(...佐藤君、廊下に立ってなさい)
(ぷぷ、ざまぁ(笑))
(っくそぉぉぉぉぉぉ!!)


消しゴムが喋ったら退屈せーへんのになーと、
授業中にいつも思います。