拍手ログ





甘やかすように時は滑っていった。そして甘い蜜をとろとろと醸造させてゆく。彼らのために、ひどくゆっくりと寛ぎながら。
にげだしたくなるような粘度。鼓膜が破けそうなほどにそれは、あまく部屋に満ち足りて響いている。未だ音も無く。醸されてゆく黄金。それは恐れられた色。心を惑わす価値を秘める色。響き合い絡み付く尾をひき延ばされた蜜。それは陽の光のなかにうつくしかった。
世界は未だ眠りの中に沈んで、あまやかな呼吸をくりかえしていた。幸福がタオルケットのようにすぐそこにあり、睡りながらでも包(くる)まることができる。赤ん坊の幸福に埋もれて、二人は止まった時を愛し自分達の世界を愛していた。


(幸福描写練習)
〜111108


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -