お約束ネタ
夏ベタ ※益田が変態 ※リーマンパロ ※ただのやおい
「あつい…」 ソファの上での怠惰な昼寝から恋人が目覚めたようだ。青木は書き物の手を休めて益田に目をやる。 「ああもうあっついなあ!」 普段は滅多に出さない苛立ちをはらんだ声は夏特有のものだ。半袖のシャツとショートパンツというこれ以上ないほどの軽装でも、エアコンのない狭い部屋の暑さはやりきれないらしい。きっと半眼で振り返られて、「青木さんエアコン買いましょうよ!!」唐突に突っ掛かられるが、青木はそれに冷たく返した。 「無理です」 「…きっとどうせ来年には買うんですから今年買ったって別に変わらないですよ年々地球は温暖化し続けているんですよ」 「文句あるんだったら帰ったらどうだい」 あ、今ちょっと傷ついた目した。 百均かなんかのちゃちいヘアピンで上げられた前髪。さらけ出された額が新鮮だ。太ももまでむきだした足と、二の腕まで覗く長さの半袖のシャツ。 青木だって暑くないと言えば嘘になる。だからこそこちらだって冷えピタと水だらいで頑張っているのだ。ていうか「今日オフになったんですよぉ」とか言って唐突に来たこいつがいなければ人口密度だって二分の一なのだから半分くらいは自業自得だ。 益田はつんっとそっぽを向く。 「青木さんが帰ってほしいなら僕ずっとここにいますもん」 「めんどくさいすねかたしないでくれよ…」 ただでさえ仕事が立て込んでいるのに。暑いのに。これ明日までなのに。青木は再び目元の書類に目を落とす。益田は台所へと向かったようだった。大方アイスでも探しているのだろう。予想は的中して、冷凍庫を開ける音がした。少しの沈黙。そして、何だかいつもより乱暴に扉が閉められる。ついで急いで戻ってくる音がした。 ――何だ。もしかしてアイス無かったか?確か買ったと思ったけど… しかし、何故か爛々とした瞳で戻って来た益田の手には、きちんと棒アイスが握られていた。その妙に高揚した表情を、青木は眼鏡のレンズ越しに見遣る。 「…なんだいその顔」 「青木さんのエッチー!もしかして欲求不満ですか?そうなんですか?」 何の話だ。益田は手に持ったアイスを指差して 「カルピスの棒アイスとかエロいなあもう!いや、僕のでいいならいつでも歓迎ですよ!ウェルカ」 「いや、黙れ」 頭が痛くなってきた。なおも青木さんのムッツリ!だの言うのを無視して、青木は冷めた感想を返した。 「君にはもうだいぶ慣れてきたけどさ、けど今のはだいぶ変態指数高いほうだったと思うよ」 「失礼だなあ、不快指数みたいな言い方しないでくださいよ」 「いや、それ同じだから」 ひどいなあ、ぶつぶつ言いながら、益田は手元のアイスのビニールを開けた。 冷たい為に一気に食いつくことは出来ないようで、まずは一つ、舌の先でぺろりと嘗める。冷たいものに触れれば舌は赤くなる。それは単なる生理的反応な、はずだ。 ぺろり。ぺろり。赤い舌。慎重な、探るような舌づかいが、嫌でも「なにか」を思い出させる。 益田の舌で、カルピスアイスが溶けていく。 「―…!」 青木は焦って視線を書類に戻す。しかしこの馬鹿は「あれ?どうしたんですか、青木さん」とか言ってくるのだ、このうえもなくわざとらしく。 書類に置いた手を引かれる。挑発するような目つきで、彼は、ちゅう、と音をたててアイスに直接唇をつけ吸った。一度離す。 冷たさに反応して、赤く腫れていく唇。 その唇に、のせられた白い―― 「馬鹿なことはやめ、」 「ねえ、見てて」 それに従ってしまうことに妙な屈辱を覚えた。 あまつさえ彼は何だか心持ち腰を突き出すようなポーズをしてみせる。にやあと八重歯を覗かせていやらしく笑いながら、溶け出した棒アイスを、ぱくっとくわえた。普通の一口にしたら深すぎるくわえかただった。口の形をあざとく棒アイスの円筒形にすぼめて、つうとその表面に口腔をすべらせるようにする。「ん、」鼻にかかった声は絶対にわざとだ、ろう。そっと手を青木から離して床につく。もう片方の手で、ゆっくりと棒アイスを動かしてみせる。ふっ、ふう、っ…そう不器用な呼吸のしかたをする。 そんな悪ふざけを、青木は何分見つめていたのだろう。
ぽた、
と軽い音がして、何だと思うと、溶けだしたアイスが益田のむきだしの太ももに垂れていた。白濁色が、そこを、ぽつぽつと汚して。 それを自分でも見ていた益田は、青木の視線に気づいくと目を細める。そうしてアイスから唇を離し、当然のように真っ白に汚れた、真っ赤な口で、 「…おいしい」 そうして付け加えて、あおきさんの、と、彼は言った。 「きみ――っ!」 顔がかああっと赤らんでいくのを止められなかった。何を、ばかな。 馬鹿なことを! 「ねえ、このままだと足べとべとになっちゃいますから」 嘗めて? 益田はそう言って、すらりとした足を投げ出した。ショートパンツから覗くたふたふとしたももに点々と散る、
――にやにやとした顔の、その緩んだ頬を軽く青木は張った。 ぺち、と軽い音がたつ。 益田のすっとした目が、ぱちりと大きく見開かれた。白く汚れた口の端からこぼれる白濁は目の毒だ。けれど辛抱して、彼と目を合わせて青木は言い聞かせる。 「…これやんなきゃなんないから。終わるまでおとなしく待っててくれよ」 投げ出すわけにはいかないのだ。 益田は少しつまらなそうな顔をして青木を見ていたが、ふいっと視線をそらした。あーあ、と言いながら立ち上がり、そっけなく青木に背を向ける。すらっとした体が心持ちふらつきながら、歩いていく。 帰るのかな、と思った。 益田は探偵事務所の勤務で、いまどきやくざな商売だとは思うが、上司がなかなか有能な人物らしく給料はそこそこ良い。その分人格の面でしわよせがくるのだとぼやいてはいたが。どこにでもいるような会社員の青木よりは、彼は数段良いマンションで暮らしている。むろんそこにはエアコンだって、空気清浄器だってなんだって備え付けられている。そう結局、益田がわざわざここにくるメリットなんてほとんどないのだ。 益田はぴ、と部屋の隅に置いてある扇風機のボタンを押した。一呼吸おいて、ばああ、と羽が動き始める。彼はこちらに背を向けたまま、ゆっくりと首を振り始めたその前にべたっと座り込んだ。黒い髪が風に舞いあがった。溶けだしたアイスが垂れるのをぺろぺろとつまらなそうに舐める。 いじらしいなあと思った。帰らないのかい、なんて意地悪を言えば更に怒らせてしまいそうなので青木はそれをぐっとこらえる。甘い雰囲気をつくってしまうのはまた無責任な気もして、結局は紙面に目をすべらせながら、そっけなく、すまないね、とだけ声をかけた。 「…――あんたのそういうところも好きですから別にいいんですけど」 輪をかけて憮然とした声が返ってきた。つんとこちらに向けられた背の、その下の尻が凄く可愛い。薄い黄色みのショーパンと白い肌色が合っている。きっと尖らされた唇は真っ赤で、今度はいやらしい意図なしに、溶け出すアイスキャンディーを急いで食べ始めている。そっちの方が興奮するんだけどなあ、などと頭の片隅で考えながら、青木はぺらりと書類をめくった。 何だか静かになった部屋の沈黙に耐えられず口を開いたのは益田の方だった。 「暑いですね」 「…君やっぱそんなに露出の多い格好で電車とか乗って来るのやめろよ」 「上はもう一枚着てきましたよ」 「脚がそんな出てちゃ意味ないんだよ!」 「…はー。なんだかんだで青木さんも変態ですねぇ」 あきれたようにため息を零して、益田は四つん這いで、あーと扇風機に向かって声を出す。だから、けつ。 挙句の果てには「青木さんが相手してくれなくてつまんないんだけど君どうしたらいいと思う」なんていう相談を無機物相手に持ちかけていてこいつは本当に馬鹿なんだなあと思った。しかも返事には例の宇宙人の声色で、「そーれーはー、やっぱいーろーけーのーもんだいでーすーぞおー」とかやってる。それにまた普通に「僕だってさっきお色気攻撃しましたよ」と返して、それに『ムーックはーカーバーじゃなくてイーエーティーですぞぉー』とか全然関係のないこと言って一人で爆笑し始めた。ていうかムックはカバには見えない。 馬鹿だ。 「かわいい」 おっと。 「え?」 ――心情と台詞が逆になった。 ぱっと振り向いてくる益田に気まずくてまた書類に逃げれば、彼は 「青木さんムックがツボでしたか? ムッツリですね、でもムックは永遠の五歳だから児ポ法引っかかるんですよ!もしかしたらワシントン条約とかも引っかかるかも分かりませんが。あっ知ってました? ムックって――」 またピントのずれたことで舌を動かし始めた。
ああもう暑いなあかわいいなあ早く仕事終わらせないとなあ!
みたいな漫画が読みたいですホモください 暑さで頭が壊れた二人が愛しいです 青益はどっちが攻めだか受けだかわかんないのが萌えです ギャグを目指しましたがつまらなかったらごめんなさい失笑してください 益田のすねげはログアウトです 120820 |