※キャラソンネタ含む


ありきたりなチャイムが校舎に鳴り響いて本日の授業は全て終了!このあとは部活が待ってるし、早くサッカー棟に行かなきゃ!
信助や葵たちと校則を無視して渡り廊下まで一直線。自動ドアを開けていつものように挨拶した段階で、サロンの真ん中の辺りで先輩部員たちがたむろしているのを発見した。なにやら騒ぎの中心を遠巻きに見ている風である。


「どうかしたんですか?」


信助や輝と顔を見合わせた後に近くにいた浜野先輩にそう聞くと、いつものふにゃっとした笑顔で騒ぎの中心に指を向けた。見ろということだろうと目を向けると、そこには円堂監督と…


「…みょうじ先輩?」


俺たちより6つ年上の雷門OGである先輩がなぜかその監督の腰元に抱きついて騒いでいた。何事なのかと浜野先輩に再度問うが肩を上下させてわからないとジェスチャーされた。すると、近くで騒ぎを見ていた霧野先輩が俺たちに気づいてこっちこっちと手招きしてくれる。言われるままに近づけば、みょうじと円堂監督の会話が聞こえる範囲内だった。


「まじ円堂監督ありがとうございます感謝の意をこめて今日一日このまま抱きついてていいですか」
「だからなんのことだかわからないから説明してくれみょうじ」


どうやら騒いでいるのはみょうじ先輩一人だけらしい。円堂監督の説得を無視してぐいぐい背中に顔を押し付ける先輩はなんか子供みたいで少し可笑しかった。


「わっかりました説明しましょう!」


突然先輩がそんな大声を上げて仁王立ちになる。さっきまで背中に顔を押し付けていた名残が鼻の頭を赤くさせていて俺が言うのもなんだけどバカっぽかった。


「まぁ2週間くらい前に私は大きな壁を上りに行ったわけですよ」
「変な言い回しはやめて素直に大学受験と言ったらどうだ」
「それでまぁ緊張するわけなんで愛しのアイちゃんで音楽をシャッフルかけて聞いてたら」
「iPodで音楽を聞いてたのね」
「そしたら、なんと!円堂監督のキャラソンが流れてきまして!!」


鬼道コーチ、音無先生の翻訳があってやっとわかった。たしか「だから絶対大丈夫」ってタイトルの曲を円堂監督は歌ってたはずだ。たしかに内容もどんな困難もお前たちなら大丈夫!みたいな応援ソングだったと思う。


「で、なんと!!」


ゴソゴソと背負っていた鞄を漁り始めるみょうじ先輩。ジャジャーン!と先輩の効果音つきで出てきたのは、大きめの封筒だった。こっちに見せている裏面には有名な大学の名前がプリントされている。


「まさか…」
「そうそのまさかだよ天馬くん!!」


受かったの!!と満面の笑みで封筒を抱えた先輩はまた嬉しげに監督に突進して行った。あ、ゴッドハンド使われた。


「とりあえず円堂監督は嫁に来てください」
「それは無理だなぁ…」


冗談かと思うような求婚を円堂監督も流すように聞いている。でもよく見てほしい、みょうじ先輩の目はマジだ。


「え、無理ですか?じゃあ…じゃあ百歩譲って旦那に来てください!!」
「百歩譲らないと旦那に行けないのか。というか円堂は既婚者だし男だから嫁はどう考えてもお前だろう」
「鬼道さんは黙っててー!」


やいのやいのと結婚話を持ち上げるみょうじ先輩に円堂監督や鬼道コーチもたじたじ。部員のみんなは互いに目を見合わせてどうするか思案顔だ。たしかに先輩の騒動が終わらなければ俺たちはサッカーの練習ができないわけで、サッカーを練習するためにはこの騒ぎを治めないといけない。それには先輩に納得してもらう必要がある。遂には1万歩譲って養子にしろと言い出した先輩に、面倒くさくなったのか鬼道コーチがもうそれでいいんじゃないかと言い出した。
ありがとうございます鬼道コーチ!


「まっ待て!!そんなの鬼道が決めることじゃ」
「わあぁっ!!ありがとうございます鬼道さん!!」
「それに夏未がなんて言うか」
「今確認とったら子供ができたみたいで嬉しいって言ってましたよ」
「みたいじゃなくてこのままだと本当にできるんだって言ってくれ!!」


未だに騒いでいる先輩たちは放っておいて俺たちは一件落着したようだと部室に足を向けた。
後ろから円堂監督の悲痛な叫びを聞いた気がするけどきっと気のせいかな!



大学合格しました!!



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そんな夢をこめて。
まぁ実際そんな甘くないけどね、入試なんて!!

ごめん円堂さん安らかにお眠りください←






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