「すみません、無理です」


残酷に聞こえるかもしれないけど、私は素直な気持ちで目の前にいた彼にそう告げた。



さて初っぱなから告白の振られシーンなわけだけど、こうなった経緯を話すには少し時間を遡らなきゃいけない。

青道高校2年帰宅部 森川怜、これが私の肩書き。
私的には何不自由なく高校生活を楽しんできたし、これ以上の変化なんて望むこともなければ考えたこともなかった。
の に 。
ある日突然御幸が「お前に会いたがってる人がいる」なんて言ってきて、その呼ばれた場所は告白場所としてはスタンダードな屋上放課後。
呼び出されたんだから行かなきゃなと良心的に出向いたら、頭のピンクな小さい男の人がいて、


「君のことが好きだから、付き合ってよ」


なんて言われました。

で、冒頭に戻るわけですが。まぁ見たらわかるように、振りました。
でも相手の人はびっくりしてる顔をしてます。いやいやこっちがびっくりだよ。


「…なんで?」
「な、なんでって言われても…私、あなたのことほとんど知りませんし」
「じゃあ今から知ったらいいんじゃない?」
「いやでも私、だからあなたのこと好きじゃないですし」
「気持ちなんて後からついてくるよ?」
「……あの、噂であなたが私を好き、みたいなことが出回っててですね」
「うん」
「どちらかと言うと、好感度悪い方って言うか…どん底なん、ですけど…」
「…天邪鬼なの?」
「いや別に片意地張ってるわけではなくてですね…なんでかは、わかんないんですけど、」
「ふーん…なら、こっちにだって意地がある」
「へ、」
「俺に惚れさせてあげるよ」


彼はそんなことを相変わらずのニコニコ顔で言い放った。



あぁ やっかいなことになった。





(これが天命?戯言だね。)






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