「昨日学校の帰りにさ、号泣しながら歩く子とそれを慰める子っていう2人組を見たのね」
「それで?」
「それで、泣いてる方の子が『私だってあんたのこと好きじゃないし』みたいなこと言ってて、だからまぁカレカノの修羅場別れ話か女同士の醜い罵りあいかなぁなんてほくそ笑んで見てたら」
「たら?」
「今日彼氏に別れ話を切り出されました」
「…自業自得、因果応報」
「!降谷がそんな四字熟語知ってたなんて…!!」
「さすがに…これくらいは…」


屋上、授業中。せっかくの晴天だし!としぶる降谷を引きずって爽やかな場所にサボりにきたにもかかわらずどよんとした話題を振った私に、降谷はいつもどおりな感じで返答してきた。


「じゃあさ、自業自得の類義語なーんだ」
「…」
「…」
「…」
「…わかんないのね?」
「うん」


意地悪のつもりでそんなことを聞くと、案の定降谷は答えられなかった。
うん、これでこそ降谷。


「えっとねー、悪因悪果とか天罰覿面(テンバツテキメン)とか」
「…電子辞書」
「へへー、使っちゃダメなんて言ってないもーん」
「…」
「あーはいはい、ごめんごめん。因みに因果応報の類義語としては因果因縁、因果覿面、応報覿面、三世因果、輪廻応報って言うらしいよ」
「ふーん」
「…聞いてないでしょ」
「そういえばさ」
「やっぱり聞いてない!!」
「みょうじは彼氏と別れた、んだよね?」


降谷のその一言で、私の思考は最初に話していた内容へ戻らざるを得なくなった。
まあたしかに?最近マンネリ化してるなー、別れそうだなーとは思ってたけど、まさか本当にそうなるとは。ほんと笑い話だ。
しかしなんで今更そんな話題を…とやっと思考を今に戻すと、降谷のいつもの何考えてるかわからない顔が超至近距離に広がっていた。

は、え、!?


「今、誰とも付き合ってないってことだよね?」
「あ、あぁ…うん…」


そりゃね、彼氏と別れたその日に次の男見つけてたら私どんなビッチ?って話ですよ、うん。


「じゃあ僕と付き合ってよ」
「……へ?」


今何て言った?付き合って?


「…本気ですかな?」
「もちろん」


冗談でこんなこと言わないよと相変わらずの表情で降谷が言う。

えーっと、


「もう少し考えさせて」
「うん、わかった」


頷いて座り直した降谷を目でおってしまう。

あぁ、その日に彼氏はできなかったけど、気になる人ができるなんて私は移り気な性格なのかもしれないね。





天然くんの本気

その日のうちに野球部の練習を見せてもらって、降谷がやたらかっこよく見えたのは恋の威力か。

でも告白の返事はまだしてやんない。
















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