幼い頃俺の世界にいたのは母さんと名前だけだった。その頃から俺はダメツナだったし名前は気立てのいい賢い女の子だった。昔から何事も全てを諦めていた俺を変えたのはもちろんリボーン。気づけば俺はボンゴレのボスになっていて、ファミリー支え支えてもらう毎日をごく普通に感じ、過ごすようになっていた。

そんないい方向に進んでいる俺の人生にもやはり気にくわないことは多々あったわけで、そんな時期にある日ふっと気がついた。そういえば、もう何年も名前と話していない。俺がボスになって、マフィアだと告げても名前は俺についてきてくれて、今では充分に信頼に足る部下だった。でも、それだけ。幼馴染みなんてそんなものかな?そんな風には割りきれない。そうやって考えていたら、気づけば名前のことが好きになっていた。俺って単純だ。京子ちゃんはどうしたっていうんだろう。

「名前!」
「?あぁ、ボス」
「もー、2人の時はボスじゃなくてつ「じゃあ何用でございますか綱吉サマ」…いや用っていうかさ…一緒にちょっと出掛けない?」
「?別にいいけど…何処に行くの?」
「すぐそこ。あぁ、拳銃とかいらないから」

久々の2人の会話は相変わらずで、まるで時間が昔に戻ったみたいだった。溝なんて俺の勝手な勘違いで、最初からそんなものなかったんだろう。

「あーそうそう。スーツじゃなくて普通の服で来てね。ドレスとかでもなくて」
「わかった。けど…何で?」
「いいから!」

ぐいぐい名前を押して自室へ戻し、俺自身も部屋へ戻る。名前があまりに変わらなくて、少し嬉しかった。



















「うわ絶景ー!」
「だろ?名前にも見せたかったんだけど、予定が詰まってて今まで無理だったんだ」

俺たちがやって来たのは車を走らせて10分くらいの所にある展望台。良いところなんだけど山がなかなかに急で、地元のイタリア人すらあまり近寄らない。

「そんなの住所だけ教えてくれたら1人で来て感想伝えたのに」
「俺も一緒に来たかったの!」
「あー!そう言ってどうせ仕事サボりたかったんでしょー」

クスクス笑う名前に違うよ!と叫ぶ。まったく、どれだけ人が苦労して仕事終わらせたと思ってるんだろうこいつは…!!

「んー、で?何か言いたいこと、あったんでしょ?」
「え、ああうん。そう、だけど」

何でわかったんだろ?まぁ今はそんなこと、いっか。

「俺、さ。ボスになってから、名前とあんまり話さなかっただろ?」
「そりゃねぇ、私が避けてたし。でも何で今さら?」

え、俺避けられてたの!?という叫びはとりあえず心にしまう。うん。後で理由を聞こう。

「もう何年も名前と話してないって気づいたら、無性に会いたくなって…」

それで中庭にいるのを見つけた時慌てて呼び止めたんだけど。そんな些細なことはどうでもいい。
名前に 少し下がって? と言いつつ俺も後ろに後ずさる。突然の言葉に名前は訳がわからなさそうな表情で従ってくれた。…うん。今なら、できる気がする。

「俺、やっぱりまだまだダメツナだと思うんだ!」

だいぶ2人の間に距離が開いたころ、俺は唐突に名前に向かって叫んだ。

「至らない所もたくさんある!いつもみんなに助けてもらってる!俺、これでもいつも全力なんだ!!」

考えて言った言葉じゃなくて、思いを伝えようと。


「でも!!」


一旦、言葉を切って一度深呼吸。


「俺、気づいたんだ!きっといつか疲れる時が来るだろうって!その時、側にいて欲しいのは、名前だったんだ!」


だからどうか側にいてくださいと叫ぶ。そんな俺はさぞ滑稽だろうな。全ての気持ちを言い放った俺は名前を見てギョッとした。なんか泣いてる!?め、迷惑だったかな…!?

「うれし、いよ…」

微かに聞こえた声に俺は思わず自ら広げた距離を縮める。たった十数メートル程の距離がまるで6300キロもあるような気がした。心情的にはあと2500センチ実際には250センチ。85センチ。

「私、ツナをすごく遠くに感じてて、だから、嬉しいよ」

どうやらよほど驚く言葉だったらしい。涙はすぐにとまっていて、昔みたいに笑ってくれた。やっぱり、名前も溝を感じていたんだ。

「…名前、好きだよ」
「あは、私も」

微笑む名前を、抱きしめた。




戻る、零距離


-----
Song by;巡音ルカ
Lieリクエスト一番乗りありがとう!!
ダブルラリアットの臭いがしないのは気のせい!!←
書き直し&返却いつでもバッチコイです!!




≪ | ≫]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -