「っち行ったぞー!!」

祝日だ何だとは言っても青道の野球部に休みがあるわけもなくて。いつものように一軍メンバーとの練習に打ちこんでいた。

「まだ力んでんぞ降谷、意識して投げろ」

ブルペンに入っていつものように降谷と組んで練習。アドバイスして投げ返した瞬間視界の端に見えたものに思わず顔を向けてしまった。

「は?篠木?」

フェンス越しに見えたのはどう見ても篠木の姿で、降谷を休憩させてフェンスに走って近づく。後ろで降谷がまだ投げられるだのとぶつくさ言っていたが全部無視だ。

「おー御幸くーん」

こんにちはと律儀に挨拶してくる彼女はどう見ても制服姿で、どうしてこんなところにいるのか不思議で仕方ない。そんな疑問が顔に出ていたのか、彼女は 休みってこと忘れて登校しちゃって…図書室から帰るところなんだよ と説明してくれた。

「どんだけうっかりだよ」

笑うと そうだよねー私も思う と篠木も笑う。

「にしても、練習大変そうだね」
「ん?あぁまぁ、みんな甲子園目指してっからな。そりゃ必死だよ」

まぁ俺もそのうちの1人だけど? とおどけてみると、 そういえば御幸くん正捕手だもんね と彼女は今気づいたように声にして、邪魔しちゃ悪いからとフェンスを離れた。

「頑張ってね!応援してるから!!」
「おー」

手を振って笑顔で別れると、どうやら気になって覗いていたらしい沢村がすぐに近寄ってきて 彼女っすか? と聞いてきた。つーかお前はちゃんと投球してろよ。

「ちげーよ。妙に勘ぐってんじゃねぇ単細胞」

後ろでキレ始めた沢村は置いといて降谷に練習再開だと叫ぶ。さっきと同じポジションに構えただけなのに、心なしかさっきよりも真剣に練習に取り組んでいる気がした。











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