「秀吉いぃぃぃ!会いたかったよおぉぉう!!」
「な、誰じゃ!?澪か…!?と、とにかく離してほしいのじゃ!!」
腕の中で暴れる秀吉を押し倒しながら押さえつけて思う存分堪能する。そうだよこの柔らかさ!この香り!どう見ても女の子なこの容姿!!嫁嫁俺の嫁!!
「あぁぁぁぁかわいいぃぃぃぃ!!」
「かわっ!?やはりお主澪じゃな!?」
背後から抱きついている私を視認せんと振り返ろうとする秀吉の背中に顔を押し付けてはすはすする。ギャーギャー2人で騒いでたらそりゃいぶかしんで人がやって来るのも定石というもので、木製の簀がドタドタ音を立てたかと思うと、顔見知りの平隊士が数名、柄に手をかけて姿を表した。
「文川先生!」
「なにかあったんですか!?」
厳しい顔つきの皆は私の姿を見た途端になんでか知らないけど突然抜刀。かと思うとあろうことか秀吉に刀を向けやがった。
「先生、不審者の確保、御苦労様です!!」
「…は?」
叫んだ隊士の言葉が飲み込めずぽかんとしていると、一人の隊士が乱暴に秀吉の腕を掴んで引き上げた。
「ほら、立て!!」
「な、なんじゃ!?え!?」
その隊士の行動を見て、瞬間頭が沸騰する。冷静に判断もつかないまま、気づけば転がしてあった刀を蹴り上げて、手を掴んでいる隊士の喉笛に切っ先を突きつけていた。
「せ…先生…?」
「その子は俺のもんだ。傷1つでもつけてみろ…殺すぞ」
心の底からドスを効かせて言うと、青くなった隊士たちは「失礼しました…!!」と頭を下げた後に逃げ去って行ってしまった。
「…澪、?」
「…(やべ、かなりマジにやってしまった…。あの隊士さんたちが口きいてくれなくなったらしょんぼりなんだけど…取り返し効くかな)」
「澪!聞くのじゃ!!」
「んぅえ!?え、何、秀吉…?」
「ここはどこなのじゃ?さっきの者たちは何者じゃ?それに何より澪よ、お主が持っておるのは日本刀ではないか…?」
「えっ!?あ、あぁぁ!!いやいやそんな訳ないじゃん秀吉!!これはあの、あれ、偽物!レプリカだって!!」
「それにさっき、先生と呼ばれておったな…澪、お主今まで何をしておったのじゃ?」
「へ?」
今まで?何を言ってるんだろう俺の嫁は…なんか意識の相違が起こってる気がするのは気のせいか?
「ねぇ秀吉、今までってどういう…」
「ねぇ澪ちゃん、さっき隊士が青い顔して戻ってきたんだけど何か変な事でもしたの?」
「澪が変じゃないことをした試しはないけどな。…って澪、そいつ誰だ?」
グッドタイミングというかバッドタイミングというか、私が秀吉に声を掛けた瞬間、左之さんと総司が私の部屋を覗きに来てしまわれて。
「え…っと…」
絶体絶命のピンチってこういう事を言うんですかね。少なくともこういう時に活用するんでしょうねうわー勉強になったなー
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
どうすんのよ、私!?
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