逆トリップものだけどちょっと特殊(BSR)
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人間というのは、否、日本人というのは、兎角集団で動きたがる人種である。 その中から特に突出した能力を持っていたり、特別な想いを抱いている人間を、奇特な目で見、睨み、そして阻害しようとする。 なんとも浅はかな生物である。 私はむしろ、そういう人々のことを好ましく思う質である。 だってどうして他人から好かれようとすることが行けないことなのだろう? どうして他人より頭がいいことが、能力が高いことが、そうあろうとすることが駄目なのだろう? 他人より可愛くなりたい、他人よりもいい成績を残したい、他人よりもお金持ちでありたい。 そんなの皆が思っていることでしょう? 私はそんなこと思っていても、自分では実現しないと知っているけれど、もし実現できる力があったら? それを実行しないとはっきり言えるだろうか? 人間とは、欲望高い生物なのだ。 そして、それを僻む思考も持っている。 私はどのどちらをも愛しているし、どちらをも醜いと思う。 でも、それが人間なのだから。 私はそういう迫害されやすい人にこそ、人間の本質を見るのだ。
そこまで、という教師の硬い声が聞こえた途端、今まで静かだった教室内は急にいつもの賑やかさをとりもどした。 かく言う私も気づかれない程度に息を吐き、前の人に目の前にあったプリントを手渡す作業を自動的に行う。 今日は学生の本分である勉強の成果を発揮する日、そう、テストの最終日だったのだ。 今回もまあ良くもなく悪くもなく、クラス内で上位3割といった位置につけるだろう点数を取ることが出来たと確信している。 それよりも、そんな私の平凡な点数のことよりも、今の私にはするべきことがあった。
「お疲れさま、莉々ちゃん。当たり前のことだけど、今回のテストはどうだった?」
もちろんこれは彼女が得意気に、自信満々に出来たのだと、鼻高々に言ってのけてくれるだろうことを見越しての質問である。 私の友達、否親友である城崎莉々ちゃんは、成績優秀文武両道、おまけに眉目秀麗などこの漫画の主人公かと聞きたくなるような能力を兼ね備えた、素晴らしい人である。 そのうえ向上心を捨てることなく、日夜努力を欠かさない、まさに天才と呼ぶにふさわしい人だ。 クラスのみんなは何故か莉々ちゃんを邪魔者扱いして嫌うけど、それはただの僻みだって私は知っている。 だって莉々ちゃんは、こんなにも素敵な女の子なんだから。 私の自慢の、大親友なのだから。
しかしそんな莉々ちゃんは、今日に限って何故か朝から一言も口を利いてくれないのである。 昨日何かしただろうかと思って自己回想してみたけれど思い当たる節もなし。 まあ莉々ちゃんは時々こういうことがあるし、いつものことだと思っていつもどおり振る舞う私である。 のだが、今回に限って言えば、実は莉々ちゃんはいつもと違ったようで。 突然莉々ちゃんの机に突いていた私の手を握りしめたかと思うと、いつもでも大きい瞳をキラキラさせながら、私にだけ聞こえるような小声で、感極まったかのような声音でこういったのだ。
「私の家に、武将たちが来たの…!!」 「…は?」
----- この主人公と悪女ちゃんは本当に相思相愛な感じ(not百合)で進んでいきます。 女の子の友情ってすごくかわいいですよね。 悪女ちゃんいやーなやつかと思われがちですが、「でもこの子なんとなく好きだな」って言ってもらえるような子になるように書いていきたいですね。 なんとなく主人公よりも愛着湧いちゃいそうwwww
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