BSR × 刀語
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「そういや、とがめにはまだ話してなかったな」 「なんだ、まだ隠し事があるのか?」 「いや、隠し事っていうか…俺にはもう一人兄弟がいるんだよ」
凍空一族の村へこなゆきが戻っている間、二人の間に隠し事は無しだとのとがめの一言で、今まで言っていなかったことを思い返していた七花は、すっかり忘れていた事実を口にしたのだった。
「ほう、それは確かに初耳だ。男か?女か?七実よりも上か?」 「いや、下だ。俺や姉ちゃんより下。妹だよ」 「しかし、私が島へ行ったときは会わなかったな。隠れていたのか?」
七花たちのいたあの絶海の孤島は、人が簡単には立ち入ることができない島であった。 入ることができないと言うことは出ることもできないということだ。 ゆえに隠れていたという結論に至った訳だが、解答は謎ばかりが残るものだった。
「いや、ある日突然いなくなったんだ」 「いなくなった?」 「あぁ。一緒に修業してたら、気づいたらいなくなってた」 「ふむ…それは不思議なことだな」
神妙な表情で顎に手を当てたとがめをぼんやり眺める七花は、今となっては懐かしくなった、とがめよりも背の高い、さっぱりした笑顔が印象的な妹を、久しぶりに思い出していた。
「はぁー…こんなもの…だろうか…」
皆様どうも初めまして。私鑢七緒と申します。 私は今まで新しく農地を開拓していたわけですが、やっと耕し終わったその土地を見て、満足して今、こうして解説を始めた次第なわけですよ。 私の性別は女、齢は…18程でしたでしょうかねぇ。 姉や兄と会えなくなってから結構な月日が経っておりますから、正確な年齢はわかりませんけど…まぁ私の歳を聞こうなんて奇特な方はこの山奥に存在するとは思えませんし、いいでしょう? そうそう、私がどうして、こんな獣しか存在しなさそうな山奥に住んでいるかについては、愚痴序でに聞いてくださいませね。 では、在り来たりな言葉から。 あれはいつの頃だったか…春だったか秋だったか、とりあえずなんだかとても過ごしやすい季節だったかなぁ…兄と修行をしようと、 あ、兄というのは鑢七花という虚刀流現当主のことなんですけれど、これがまぁなんというか、兎に角そこそこにいい男っぽい感じの大男でして。 家族贔屓目に見てもそこそこの物件なんですけども、まぁあんな孤島に居りますもんだから宝の持ち腐れで、血縁者ながら心配しておりますのですよ。 え?何の心配かって?そりゃぁ貴方、武家の人間の心配事といえば世継ぎのお話でしょう? まぁ私たちは"刀"ですから武家ではありませんし、世継ぎというより後継者という方がしっくりくるような思いがいたしますが、今はとりあえず置いておきましょう。 流刑になった父上と母上がこうして私たちを残してくれたように、私たちも虚刀流という流派の"刀"を後世に残さなければ面目がたたないというものです。 しかしあのように兄にはお相手がいない訳ですから、まぁ、私がお世継ぎくんを産まなきゃいけないんじゃないかなと薄々思っているところで。
…あれ、なんのお話でしたでしょうかね? ま、いっか。 ともかく畑は耕し終わりましたし、一度休憩をとることにいたしましょう。 よっこいせ、と年頃の女には似合わない掛け声と共に近くの丸太に腰をかけました。 いやはやなんというか、よくぞここまで畑を広げたなと。思わず自画自賛してしまいたくなりますね。 えぇ、これだけやれば誰も文句は言いませんでしょう。 寧ろ言わせませんし、口を開かせもいたしませんが。 なにせ、山の奥地ですからね、人が参らないのでございますよ。 どんなにこの急斜面を耕し、どんなに邪魔な大木を切り倒そうと、他人様に迷惑がかからない。 なんて素敵なことでしょう! こんなに私に丁度いい場所があの孤島以外に存在いたしますでしょうか? いいえ、ないでしょうね。 あら、敢えて反語を使ってみたのですけれど、これはなかなか、面白い言葉遊びですねぇ。 今度からもっと多用してみようかしら?
「ま、なんでもいいわ。ともかく帰らせて頂きましょうか」
土まみれになった手を軽く払いながら、私はつい先程腰掛けた古株から腰を上げた。 さて、今日はどんなご飯をいただきましょうかね。
----- みたいな感じで進んでいきます。 追記のくせにものすごい文章量ですねすみません。 たぶんこっからよくあるパターン 手負いの 佐助が 現れた ! につながるかと。 そうして戦に駆り出されていくんでしょうね。 まあそうなったとしてもこの脱線娘の本質はどこまでいっても変わらないかと思われますが
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