捻た女の子と箱学
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学校というのは、温室みたいなものだ。 それぞれの学校には校風と言う名のローカルルールがあって、気づかない間にそれに染まってしまっている。 学校(温室)から出れば、そんなものたちまち意味がなくなってしまうのに。 そんな小さな小さな瑣末事に気を取られて、そんなものを基準にして、話すことのなんと不毛であることか。 一歩離れて俯瞰して見てみたら、すぐにわかることなのに。 若気の至りというのか、他の子達はみーんなそのことに気づかない。 そして、私にもそんな予兆はあるのだ。 私は普通に生活したいだけなのだ。 今更他者に染まって、今後苦労するのは染められた人自身なのに。 それがわかっているから、私はできるだけ距離を置こうとする。 そんな私の計画を、平穏を、脅かす存在がいた。
「さぁ○○さん!今日こそ話を聞いてもらうぞ!」 「結構です。マネージャーにはならないです。ありがとうございました。さようなら」 「ああ、さような…ってちょっと待て!この美形に話しかけられて、それで終わるのか!?」 「いや、あの…もう飽きたので」 「飽きた!?飽きたとはなんだ飽きたとは!!この美しい顔のどこに飽きる要素があるというのだね!?」 「いやもう…存在」 「存在!?」
今日も彼は性懲りも無く私の元へやってきて、意味のない会話を繰り返す。 こんなことをしている暇があったら彼が大切だと豪語する自転車にでも乗ればいいのに。
「ぅおっほん、まぁ先ほどの言葉は聞かなかったことにしよう」 「聞いてください」 「そんなことよりも○○さん!」 「そんなことって」 「今日こそマネージャーになってもらうぞ!」
誰かこいつに常識と、日本語と、慎ましさを教えてやってくれ。
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